特集日本

社会課題でもある技能伝承を図りながら、需要の高い自動車材をはじめ幅広く供給

代表取締役兼専務執行役員
種岡 瑞穂

種岡 瑞穂

市場背景

  • 米国を起点とした自動車軽量化ニーズが日本にも波及
  • タブレットなどのIT機器販売量の増加によって、 液晶・半導体製造装置市場が好調
  • 生産現場におけるIoTやAIの活用が活発化
  • 製造業を担う人材不足への対応が急務
輸送向けアルミニウム板需要(日本)
日本の輸送※向けアルミニウム板需要
※自動車・航空機・船舶などの総称
出典:CRU Aluminium Rolled Products Market Outlook
2017 November Report
半導体・FPD製造装置販売高予測(日本製)
半導体・FPD製造装置販売高予測(日本製)
出典:一般社団法人日本半導体製造装置協会
「2018年7月発表 半導体・FPD製造装置 需要予測」

UACJの
現状

自動車材の供給能力を増強するとともに、多様な産業分野に製品を供給

UACJは、日本国内において、飲料缶をはじめ、輸送、IT機器、建築など、幅広い産業分野に向けて、多様なニーズに応えるアルミニウム製品を提供してきました。

これら各分野とも、アルミニウム需要は引き続き堅調に推移することが見込まれます。たとえば、当社が約5割という圧倒的なシェアを持つ缶材は、低アルコール飲料缶やコーヒーなどのボトル缶を中心に、さらなる需要の拡大が期待できます。また、スマートフォンやタブレットの普及を受けて、筐体用や液晶・半導体製造装置用の需要も好調です。

なかでも需要が拡大しているのは自動車材です。北米を起点とする車体軽量化に向けたアルミニウム需要の高まりを受けて、日本でもパネル材をはじめ、自動車用部材の需要が増加しています。これら需要に対応すべく、UACJは従来、自動車用パネル材や熱交換器材を製造してきた名古屋製造所に加えて、福井製造所にも自動車用パネル材の生産設備を新設する計画です。稼働開始は2020年、生産能力は年間約10万トンを予定しています。

自動車用パネル材需要の見通し(日本)
自動車用パネル材需要の見通し(日本)
出典:CRU Aluminium Rolled Products Market Outlook
2017 November Report

取り組み
テーマ

ものづくり力の継承の場づくりを、各拠点でスタート

国内の製造現場における大きな課題が“技能伝承”です。UACJでも今後10年間で、国内製造所の立ち上げを知るエンジニアの多くが定年を迎えます。メーカーとしての競争力を維持するためには、彼らが培ってきた、ものづくりの技術やノウハウ、そして精神を次世代に継承していくことが不可欠です。

こうした認識のもと、現在、国内各拠点において技能伝承をテーマとした場を設けています。たとえば名古屋製造所では、各部門の熟練技能者を講師に技術者にきめ細かく技能を教える「塾」を開設するとともに、定年退職したエンジニアを再雇用して、高付加価値なものづくりを若手に伝えています。また、福井製造所でも、2020年に稼働開始する自動車パネル用熱処理ラインの新設に向けて技能伝承の場づくりをスタートさせました。

このように、UACJでは、これまで培ってきた、ものづくりの技術やマインドを次世代に伝えることで、自社の競争力を維持・向上させるとともに、日本の製造業が築いてきた人的資産の継承、産業競争力の維持発展に貢献していきたいと考えています。

技能伝承のテキスト
技能伝承のテキスト

2017年度のハイライト

  • 拡大する自動車材需要に対応するため、福井製造所に自動車材専用熱処理ラインの新設を決定
  • (株)UACJ押出加工名古屋の自動車用部品生産ラインに最新鋭の押出機を導入
  • 「働き方改革推進プロジェクト」スタート
日本の売上高推移単位:億円
日本の売上高推移