特集アジア
経済成長にともなう需要拡大と
産業振興に欠かせない人材育成に注力
UACJ (Thailand) Co., Ltd.
取締役社長
土屋 博範
市場背景
- 経済成長を背景に飲料缶の需要が拡大
- 中国で自動車向け環境規制強化にともなうEV化が加速したことで、熱交換器メーカーが活況
- タイ政府が経済発展の牽引役として製造業を強化
- 製造業における技能伝承を含めた人材育成が課題として浮上

2017 November Report等に基づく推定値

2017 November Report等に基づく推定値
UACJの
現状
拡大する需要に応えるため、東南アジア唯一の32万トン体制に増強
東南アジアでは、経済成長にともなう人口増や個人消費の拡大により、飲料缶や自動車などの分野でアルミニウム需要が拡大し続けています。UACJは、こうした需要増大に対応するため、東南アジア唯一のアルミニウム圧延一貫生産工場となるタイのUATHラヨン製造所の建設を2012年度から進めてきました。2016年の第2期までの工事により、年間18万トンというアジアでもトップクラスの生産能力を確立し、缶材や熱交換器材を主に生産。タイ国内の飲料缶工場や自動車部品工場への供給に加えて、アジアから中東、豪州にまで供給先を拡大し、タイにおけるアルミニウム製品の輸出拡大に貢献しています。
今後は、さらなる需要拡大を見据えて、名古屋・福井製造所と同等の、32万トンの生産能力に引き上げる追加投資を行う計画です。圧倒的な生産規模を誇る一方で、近年は中国や韓国を含めた現地メーカーとの競争が激化していることから、今後はコスト競争力を重視しながら販路拡大を目指していく方針です。

取り組み
テーマ
現地スタッフの習熟度向上に向け、日本の熟練技術者が技能伝承
ラヨン製造所では立ち上げ当初から、現地スタッフの育成を大きなテーマにしてきました。私は、同製造所のスタッフの習熟度を高めることが、生産性の向上はもちろん、タイの製造業、産業界を背負っていく人材の育成にもつながると考えています。
そのため、工場の建設中から、現地スタッフへの技能伝承を目的に、日本から熟練技術者を招致しました。そして、製造現場での細かな作業の一つひとつを「標準手順書」にまとめて作業の目的や進め方を共有するとともに、立ち上げ時にはOJTを実施するなど、着実な育成サポート体制を築いてきました。通常、「ものづくり」においては、一人前になるまで10年はかかるものですが、こうした取り組みや、自動化技術の導入により、現地雇用の2、3年生スタッフだけで生産現場のオペレーションができるようになりました。
今後は2019年度の営業黒字化を目標に、より習熟度を高めるとともに、まだ日本人技術者が対応している設備の維持・メンテナンスや、設備増強中の生産ラインのオペレーションについても、現地スタッフだけで対応できるよう育成に注力していきます。
2017年度のハイライト
- 人口増を背景に缶材販売数量が大幅に増加
- 自動車需要の高まりにより、熱交換器材の売上が好調
- ラヨン製造所の現地スタッフの習熟度が上がり、月産平均1万トンに到達
