特集北米
暮らしに不可欠な自動車の環境規制対応と世界最大の缶材市場への供給懸念に対応
Tri-Arrows Aluminum Inc. CEO/President
Henry Gordinier
市場背景
- 環境規制強化にともなう自動車の車体軽量化・EV化の加速
- 世界最大の消費量を誇る飲料缶の需要が安定的に推移
- アルミニウム圧延メーカーの缶材から自動車材へのシフト


2017 November Report等に基づく推定値
UACJの
現状
増強した供給力を活かして、自動車材と缶材の両ニーズに対応
自動車の環境規制強化が進むなか、自動車メーカーは車体軽量化に向けてアルミニウム素材の導入を積極化しています。UACJはこうしたニーズに応えるため、北米に自動車事業の基盤を整備し、パネル材を生産するCUA、構造材を生産するUWH、母材を供給するTAAローガン工場の3拠点が連携する体制を確立することで、旺盛な需要に応えています。
2017年には、ローガン工場においてリサイクル材を溶解する新たな鋳造ラインを稼働させたことで、コスト競争力が向上しました。また、UWHでは、北米市場で初となる最新鋭押出機HybrEx®を導入したことで、高品質かつ低コストの部品供給が可能となりました。
一方で、北米は年間で約940億個ものアルミニウム飲料缶を消費する、世界最大の市場でもあります。近年は、自動車材の需要拡大を受けて、アルミニウム圧延メーカーが飲料缶材から自動車材に生産シフトする傾向が顕著となり、缶材の安定供給への懸念が広がっています。そこでUACJは、自動車材とともに、飲料缶材の供給能力についても増強を図り、ローガン工場では「2020年度に年産40万トン(缶材35万トン、自動車材5万トン)」まで増産していく計画です。
こうした生産能力の拡充に加えて4月には、グループ初の海外研究開発拠点として、イリノイ州シカゴにR&D Center (North America)を設置。北米市場の自動車材などのニーズを的確に汲み取り、迅速な製品開発をサポートしていきます。
取り組み
テーマ
生産能力の増強を活かすため、拠点ごとのテーマに注力
UACJは今、世界各地で生産能力増強に向けた投資を行っていますが、その着実な稼働のためには各工場が持つ課題を一つひとつ解決していく必要があります。たとえばローガン工場では、生産効率の向上がテーマです。世界一の消費量に対応する缶材の専用工場であった時代に比べ、自動車パネル材の母材供給を始めた現在は、従来以上に生産技術の精度を高め、効率アップを図っていく必要があるからです。CUAでは生産性を高めるべく専門家チームを派遣するなどして、現地オペレーターの習熟度を高め、早期の黒字化を図っていきます。こうした課題を一つひとつ解決していくことで、世界一の消費量を誇る缶材ニーズと需要が急拡大する自動車材ニーズに応えていきたいと考えています。

2017年度のハイライト
- TAAローガン⼯場の鋳造ライン(屑原料用溶解設備)が稼働を開始
- 押出子会社UWHの部品製造ラインに北米市場では初となる最新鋭押出機HybrEx®を導入
- グループ初の海外研究開発拠点「R&D Center (North America)」を設置(2018年4月)
