リリース・お知らせ 2024年
次世代飲料缶用蓋「EcoEnd™」の量産に向けて、生産体制の構築を完了
—東洋製罐と共同開発、温室効果ガス排出量約4割削減—
2024年7月9日
株式会社UACJ(本社:東京都千代田区、代表取締役:田中信二)は、東洋製罐グループホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:大塚一男、以下「東洋製罐グループホールディングス」)の連結子会社である東洋製罐株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:本多正憲、以下「東洋製罐」)と共同で開発した、温室効果ガス(以下「GHG」)排出量を現行品に比べて約4割削減した次世代飲料缶用の蓋「EcoEnd™」について、このほど、生産体制の構築を完了しましたので、お知らせいたします。具体的には、UACJにおける蓋材の生産体制の構築とリサイクル原料の調達対応、また、東洋製罐石岡工場における蓋製造設備対応を整えました。今後は、お客様のご使用に向けて、量産の準備を進めてまいります。
当社と東洋製罐グループホールディングスは、アルミ缶水平リサイクルのさらなる推進を目指し、2023年2月6日付で業務提携契約を締結しており、「EcoEnd™」の開発や展開も本提携における取り組みの一環となります。今後も、本業務提携を通して、アルミ缶水平リサイクルのさらなる促進とサプライチェーン全体のGHG排出量の削減を目指してまいります。
「EcoEnd™」の特長
(1)アルミニウムの新たな循環フローを提案
缶蓋と缶胴では、求められるアルミニウムの強度などが異なるため、缶蓋には一定量の新地金を投入し、成分調整をする必要があります。これが「EcoEnd™」では、缶蓋を缶胴の成分に近づけることで、缶蓋にも使用済み飲料缶(UBC:Used Beverage Can)などのリサイクル原料を多く溶解した素材を使用したうえで、成分調整により従来どおり缶胴との特性の差を持たせることが可能になります。溶解後の成分調整と製造技術を工夫することで、これまでよりも多くのリサイクル原料を缶蓋に使用することが実現します。
今後は、缶蓋にも、より多くのリサイクル原料が使用されることとなり、新地金の使用量削減にともなうGHG排出量削減が期待されます。
現在のアルミ容器材の循環フロー
「EcoEnd™」が提案する新しい循環フロー
(2)GHG排出量の大幅な削減
アルミニウムのリサイクル原料を使用すると、原料のボーキサイトから製造する際と比較して、GHG排出量が約3%で済みます。本飲料缶蓋では、リサイクル原料の使用量を大幅に引き上げたことで、現行品と比較してGHG排出量の約4割削減を実現しました。東洋製罐が国内で販売する飲料缶蓋がすべて「EcoEnd™」に置き換わった場合、年間約14万t※削減される見込みです。
※ 「EcoEnd™」1個当たりのGHG削減量および東洋製罐における現行仕様のSOT(ステイオンタブ)缶向け蓋の2019年度製造実績を基に算定
ご参考
「環境負荷を低減した次世代の飲料缶蓋「EcoEnd™」を東洋製罐と共同開発-リサイクル原料の使用率を高めることで、GHG排出量を4割削減-」(2023年12月4日)
「アルミ缶水平リサイクルの推進に向けて、東洋製罐グループと業務提携契約を締結-環境配慮型のアルミ缶を共同で開発・商品展開、リサイクルチェーン確立に向け検討開始-」(2023年2月7日)
東洋製罐グループについて
東洋製罐グループは、金属・プラスチック・紙・ガラス等、それぞれの素材が持つ特性を活かした様々な容器をグローバルに提供する総合包装容器メーカーです。包装容器事業のほか、エンジニアリング・充填・物流事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業、不動産関連事業の5つの事業を有しています。
東洋製罐グループは、社会や地球環境について長期的な視点で考え、すべてのステークホルダーの皆さまに提供する価値が最大化するよう、2050年を見据えた「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」を2021年5月に策定しました。東洋製罐グループの目指す姿・ありたい姿を「世界中のあらゆる人びとを安心・安全・豊かさでつつむ『くらしのプラットフォーム』」と位置づけ、「多様性が受け入れられ、一人ひとりがより自分らしく生活できる社会の実現」「地球環境に負荷を与えずに、人々の幸せなくらしがずっと未来へ受け継がれる社会の実現」を目指し、事業活動を推進しています。
1917年に創立し、国内45社(東洋製罐グループホールディングス含む)、海外47社のグループ会社を擁し、約20,000人の従業員が働いています。2024年3月期の連結売上高は9,506億円です。
UACJについて
株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーです。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。
UACJは、2013年に古河スカイ株式会社と住友軽金属工業株式会社が経営統合し発足した会社で、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持ちます。グループ内に板、自動車部品、押出・加工品、鋳鍛、箔の5つの事業を持ち、飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業などの幅広い分野にアルミ素材を供給し、人びとの暮らしや産業を支えています。
2024年3月期の連結売上高は8,928億円、グループ従業員は約10,500人です。