リリース・お知らせ 2024年
UBC処理設備の投資資金をグリーンファイナンスで調達
—グリーンファイナンス・フレームワークを策定、評価取得—
2024年11月26日
株式会社UACJ(本社:東京都千代田区、代表取締役:田中信二)はこのほど、2025年中に福井製造所敷地内で稼働開始予定のUBC※1処理設備の投資を使途に株式会社日本格付研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:髙木祥吉、以下「JCR」)からグリーンファイナンス・フレームワーク評価を取得しましたので、お知らせいたします。
グリーンファイナンスとは、環境課題解決に寄与する事業を対象とした資金調達方法で、グリーンローン(借入金)とグリーンボンド(社債)から成ります。資金使途は環境改善効果を有する投融資への充当に限定されます。グリーンファイナンス・フレームワークを策定し、第三者評価を取得したことを受け、今後UBC処理設備の投資において、本フレームワークに基づくグリーンファイナンスでの資金調達を実施していきます。
当社は今後もアルミニウムの循環型社会の実現を目指し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献してまいります。
(1)背景
UACJは、「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。」を企業理念、「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。」を目指す姿として掲げています。長期経営ビジョン「UACJ VISION 2030」でも、サステナブルな社会の実現に貢献するために4つの貢献領域を定めるなど、サステナビリティ活動を企業経営の中核要素と位置付けています。
マテリアリティ※2の1つとしても「『アルミニウムの循環型社会』の牽引(サーキュラーエコノミー)」を中心に据えています。また、2027年度までの第4次中期経営計画の中でも、成長・付加価値戦略の中で「リサイクルの推進」を最重要課題とし、KPIの達成に向けてロードマップを策定し、取り組みを推進しています。具体的な取り組み例として、2030年度UACJリサイクル率※380%の達成に向け、アルミ缶水平リサイクルの推進によるCan to Canの使用率増加、UBC処理設備の立ち上げなどを掲げています。
(2)資金の使途
本グリーンファイナンスで調達する資金の対象は、UBCを破砕・選別・焙焼し、塗料を飛ばしたDCC※4を製造する設備と、このDCCを溶解して圧延材料に加工する設備、それらに必要な建屋、付帯設備です。
主な対象設備 | UBCからDCCに加工する設備 | DCCを溶解し、圧延材料とする設備 |
---|---|---|
事業者 | 山一金属との合弁会社 | UACJ |
設置場所 | UACJ福井製造所内 | |
稼働開始 | 2025年中 |
これらの設備の稼働により、UBC加工とアルミ板製造が効率的に連動することで、UBC使用量を増やすことができ、より効率的な水平リサイクルが可能になります。年間4.8万トンの処理能力によるアルミニウム資源循環の拡大により、Scope3(原材料)におけるCO2排出量※5が年間約12万トン削減する見込みです。また、CO2排出量の削減、つまり気候変動への対応になるだけでなく、新地金の使用量を削減することで新たなボーキサイトの採掘が抑制され、自然の保全と再生・創出(ネイチャーポジティブ)にもつながります。さらに、環境改善効果に加え、国内資源循環による資源の安定確保も図ることができます。
(3)外部評価認定取得
このほど、グリーンファイナンスに求められる項目の基準を満たすことがJCRより認定されました。当社の使途が、アルミニウムの循環型社会の形成に重要な施策であり、GHG※6排出削減効果、資源の最大限の有効活用をはじめとした環境改善効果が期待されるとの評価で、JCRグリーンファイナンス評価手法に基づき、最上位の評価である「Green 1(F)」の認定を受けました。また、グリーンボンドやグリーンローンの各種原則やガイドラインにも適合しているとの評価を得ました。このことで、本使途に向けたグリーンファイナンスによる資金調達が可能になりました。
JCR評価結果
グリーンファイナンス・フレームワーク評価レポート(2.1MB)
- ※1 UBC:使用済み飲料缶(Used Beverage Can)
- ※2 マテリアリティ:UACJグループが、社会とともに持続的に成長していくうえで、優先的に取り組むべきだと特定した課題。
- ※3 UACJリサイクル率:循環アルミ量/溶解炉への装入量×100。アルミニウムの資源循環性を示す当社指標。
- ※4 DCC:Delacquered Can Chip
- ※5 日本アルミニウム協会公表のCO2排出量原単位に基づき算出
- ※6 GHG:Green House Gas(温室効果ガス)。CO2以外のメタンや一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボンなどのガスを含む。
ご参考
山一金属株式会社とUBC加工処理の協業に向けた基本合意書を締結-アルミ缶のクローズドループリサイクルの確立に貢献-(2021年11月4日)
山一金属とUBC加工処理の合弁会社を設立し、溶解リサイクルシステムを構築-アルミ缶水平リサイクルを促進し、循環型社会実現に向けて貢献-(2023年3月7日)
福井製造所内でUBC加工設備の建屋起工式を開催-さらなるアルミ缶水平リサイクルの加速を目指す-(2024年4月5日)
UACJについて
株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーです。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。
UACJは、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持ち、グループの総合力を発揮し、板、自動車部品、押出・加工品、航空宇宙・防衛材、箔の5つの事業を展開。飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業などの幅広い分野にアルミ素材を供給し、人びとの暮らしや産業を支えています。
2024年3月期の連結売上高は8,928億円、グループ従業員は約10,500人です。