特集グループ価値を活かした
自動車材事業

UACJの今

相乗効果をもたらす成長市場・米国での積極投資

TAAを起点とした効果的な投資によって自動車材事業の基盤を確立

UACJが、世界最大のアルミニウム缶のマーケットである米国市場に本格進出を果たしたのは、統合前の2011年8月。世界最大規模のアルミニウム圧延工場であるローガン工場の60%の株式を所有する現Tri-Arrows Aluminum Inc. (以下、TAA)の買収から始まりました。これによってUACJは缶材のグローバルメーカーとしての大きな一歩を踏み出しました。

この米国がアルミニウム産業の新たな成長市場として大きく脚光を浴びています。その需要を牽引するのが自動車産業です。世界の主要な自動車市場では、近年、自動車の環境規制が一段と厳しさを増しています。軽量化へのインセンティブが働きやすい規制設計となっている米国では、現在、車体軽量化を目的としたボディパネルやスペースフレームなどのアルミニウム化が着々と進みつつあります。自動車向けアルミニウム製品の需要は、2020年には100万トン超、2025年には120~130万トンに達すると予測されています。

この千載一遇のビジネスチャンスを確実につかむため、UACJでは、2014年、欧州企業との合弁によって自動車用パネル材の製造販売会社Constellium-UACJ ABS LLC(以下、CUA)を設立。さらに、缶材の専業工場であったTAAのローガン工場に追加投資を実施し、自動車用パネルの母材をCUAに供給できる体制を整えました。また、自動車用アルミニウム構造材・部品事業を強化するため、2016年、同分野における北米のリーディングカンパニーをグループに迎え、UACJ Automotive Whitehall Industries, Inc.(以下、UWH)として立ち上げました。これによりUWHが有する豊富な顧客基盤をCUAに展開するなどの相乗効果も期待されます。

このように既存のTAAを起点とした効果的な投資によって、UACJは米国市場において幅広い自動車材事業を推進できる体制を短期間に構築しました。今後もUACJグループのシナジーによってクオリティー・コスト・デリバリーの向上を図り、北米における自動車用アルミニウム事業を一層強化・拡大していきます。

米国の主要拠点
米国の主要拠点
北米での自動車用パネル材需要
北米での自動車用パネル材需要

米国でのノウハウ、プレゼンスを活かして自動車材事業を世界展開

環境規制強化にともなう自動車の軽量化トレンドは、米国市場に限らず、欧州や日本、さらにアジアでも着実に進みつつあります。UACJでは、米国におけるビジネスモデルやお客様へのプレゼンスを活かしながら、今後は日本国内やタイなどにおいても自動車用パネル材、構造材・部品の事業を強化・拡大していく予定です。そんな展開を見据えて、すでにCUAやUWHとの人材交流や共同開発などを積極的に推進しています。とりわけ、UWHは自社で自動車用アルミニウム構造材の設計・製造を担い、自動車メーカーや部材メーカーに直接納入するなど、部品・加工品事業で多くの実績を持っています。こうしたノウハウを加えることで、今後もUACJグループの自動車材事業をより一層高度化させていきます。

自動車材事業におけるグローバル連携
自動車材事業におけるグローバル連携

PICK UP

慈善団体との交流を通じ、地域に根ざした活動を展開

UACJグループでは地域社会との良好な関係を大切にしており、海外事業の中心エリアの一つ、米国においても同様に取り組んでいます。TAAでは、地域の人々に愛される存在となるために、社員による地域社会への奉仕活動を推進する新たなビジョンを策定しました。このビジョンのもと、TAAのあるケンタッキー州ルイビルにゆかりのある5つの慈善団体をパートナーに定め、寄付を行ったり、多くの従業員がこれらの団体の活動に参加しています。そして、その様子は社内報に掲載して、さらなる活動への参加を呼びかけています。今後もTAAでは、従業員、地域社会、業界といった各ステークホルダーとより良い関係を築いていけるように精力的に活動していきます。

道化師のような赤い鼻をつけ、笑いを交えながら子どもたちの貧困を考える「RED NOSE DAY」や、地元産のワインを使った水彩画クラブへの参加などを通じて、地域とのつながりを深めているTAAの従業員