エリア別報告 タイ・その他

大規模な追加投資によって規模の拡大を図るとともに
生産効率改善により早期の黒字化へ

UACJ(Thailamd) Co., Ltd. 取締役社長 土屋 博範
UACJ(Thailamd) Co., Ltd.
取締役社長
土屋 博範

アジアの基幹工場として、2012年からUATHラヨン製造所を建設してきました。第1期、第2期の工事を完了させ、年間18万トンの生産能力を持つ、東南アジア唯一のアルミニウム一貫生産工場として缶材や熱交換器材、一般材を生産しています。そして人口増等を背景に、さらなる需要を見込めることから、2016年11月に第3期となる設備投資を決定。生産能力は年間32万トンと、アジア屈指の規模となります。

一貫生産のスタートから1年半が経過し、習熟度向上とともに生産効率も高まっています。現在の月間販売量は8~9千トンですが、2017年度下期には平均1.3万トンを見込んでいます。販売量の増加により利益率も改善しており、2017年度下期に営業損益、2018年度には経常損益での黒字化を目指します。

2016年度のハイライト

  • アジアから中東、豪州にかけて、人口増、経済発展にともない缶材需要が増大
  • アジア地域外からの引き合いも含め、UATHの顧客数は50社以上に拡大
  • UATHラヨン製造での習熟度が上がり、月産1万トンを達成
  • UATHの年間販売数量が3.2万トンから6.5万トンに増加
  • UATHラヨン製造の鋳造、冷間圧延、表面処理・塗装ラインへの約390億円の投資を決定、年間生産能力を32万トンに引き上げ

UATH:UACJ(Thailand)Co., Ltd.

売上高推移

売上高推移

エリア解説 アジアから中東、豪州までの広域にわたって缶材の需要増が見込め、
2020年に向けて1.4倍に拡大

アジアや中東、豪州などでは、経済発展や人口増を背景に、缶材や熱交換器材の需要が急激に拡大しています。当社の推計では、これら地域における缶材需要は、2014年の88万トンから、2020年には125万トンと、約1.4倍の拡大が見込まれています。

UATHは製造所がタイに位置することから、東南アジア周辺への供給拠点と認識されがちですが、営業エリアは中東や豪州などの広大なエリアにわたって、これらの地域に多数ある飲料缶メーカーや熱交換器メーカーのうち、取引先は50社以上に拡大しています。

UATHのカバーエリア

積み重ねてきた体制整備とESG活動

アジア最大規模の32万トン生産体制へ

積み重ねてきた体制整備の図

ESG Activity 1ラヨン製造所の操業により、雇用創出や産業発展に貢献

近年、タイでは製造業を中心とした産業発展への気運が高まっています。UATHラヨン製造所は、同国が開発を進める東部経済回廊地域にあり、大規模な投資はもちろん、雇用の創出や人材育成などを通じて現地産業の発展に貢献してきました。また、近隣の村を訪問して環境影響の調査や地域貢献に取り組むなど、地域社会とも良好な関係を築いています。そうしたなか、2017年6月には山内会長とソムキット副首相との会談も実現しました。今後もタイはもちろん、広くアジアの産業発展に貢献していきます。

ESG Activity 2きめ細かな教育により現地スタッフによる操業を実現

UATHが当面の目標とする年間生産量30万トンを実現するために、何より重要なのが現地スタッフの成長です。このため、UATHラヨン製造所の立ち上げに際しては、日本から熟練技術者が赴任し、開発・研究部門の全面的なバックアップのもと、現地スタッフの教育やOJTに注力しました。さらに日本語・タイ語・英語の3カ国語で「標準手順書」を作成し、作業手順はもちろん、その目的まで共有するなど、きめ細かな教育によって、現在、第1期ラインは現地スタッフのみで操業できるまでになっています。

現地の若手スタッフの中には、UACJの日本の製造所で研修を受け、先進的なものづくりを学んだ者もおり、彼らが今後のUATHを、そしてタイの産業界を背負っていく存在となるはずです。