エリア別報告 日本

品種移管による最適生産体制の構築により
計画を上回る統合効果を実現

生産本部長 石原 美幸
生産本部長
石原 美幸

UACJは経営統合以来、国内4製造所において品種移管を進めてきました。統合前の2社がそれぞれの製造拠点で同種の製品を製造していたものを、各拠点がそれぞれの特徴を活かした製品づくりに集中することで、効率的な生産体制を確立し、2016年度中にほぼ完了しました。これにより、統合効果は2016年度までの累計で110億円となっております。

2016年度の国内総販売数量は、主力となる缶材が微減となったものの、自動車用材や液晶・半導体製造装置向けの厚板が増加したことで前年度を上回りました。

今後も自動車用材を中心に需要の増加が見込まれるため、こうした変化に対応できる生産体制づくりを進めていきます。

2016年度のハイライト

  • 主力となる缶材の需要は引き続き堅調に推移
  • 自動車向けや液晶・半導体製造装置向け厚板の販売数量が増加
  • 押出類は出荷総量が3年ぶりに前年度比増
  • 国内4製造所における品種移管がほぼ完了
  • 最適生産体制の構築により110億円の統合効果

売上高推移

売上高推移

エリア解説 圧倒的な生産量シェアを活かして底堅い需要に対応

日本では人口減少による市場縮小が懸念されていますが、UACJにとって最大の市場である飲料缶分野では、低アルコール飲料用缶やボトル缶などを中心に、今後も需要増が続くと見られています。また、自動車分野では、海外に限らず国内でもアルミニウム化が進んでおり、パネル材をはじめとした需要が増加しています。こうした国内市場におけるUACJの最大の強みが、生産量で5割を超える高いシェア占有率です。今後も国内市場において圧倒的な競争力を発揮することで、成長分野をはじめとした需要を着実に獲得していきます。

左)アルミニウム板需要推移 右)アルミニウム板の生産シェア(2016年度)

積み重ねてきた体制整備とESG活動

各拠点の特徴を活かした最適生産体制へ

積み重ねてきた体制整備の図

ESG Activity 1多様性を活かす働きやすい制度を整備

日本では女性活躍推進法が2015年8月に成立し、女性の働き方がますます注目されています。UACJでは、同法に基づく行動計画に沿って「新卒採用の女性比率を事務系40%、技術系10%以上」や「女性管理職数を2016年3月時点から倍増」など、具体的な数値目標を掲げて、女性の活躍の場を拡大しています。また、育児休業制度やリターン再雇用制度、そして新たに導入した在宅勤務制度など、性別や年齢などを問わず、従業員一人ひとりが働きやすい制度を整備するとともに、利用率が高まるよう周知に努めています。今後も中期経営計画(Global Step Ⅰ)で掲げた「ダイバーシティの実践」に向けて、より多様な働き方を可能にする職場づくりをしていきます。

ESG Activity 2「現場力」向上に、技能伝承を推進

UACJでは、今後10年の間に、国内製造所の立ち上げ当初を知るベテラン技能者の多くが定年を迎えます。長年培ってきたものづくりの技術やノウハウ、そして精神を次世代へと継承していくことは、メーカーとしての競争力を維持するうえで重要な課題だと捉え、技能伝承の場を積極的に設けています。たとえば、名古屋製造所では製板、押出、伸銅といった各部門のベテラン技能者を講師とした「塾」を開設。昨年からは福井製造所でも「塾」を開設しました。また、定年退職した従業員を再雇用し、担当工程だけでなくライン全体、さらにはお客様も見据えた高付加価値なものづくりを若手に伝えています。