エリア別報告 アメリカ
缶材供給力も高めつつ、
自動車向けアルミニウムの需要増に積極的に対応

CEO/President
Henry Gordinier
UACJは、2011年に現TAAを買収して米国市場に本格参入しました。TAAが運営するローガン工場は、世界で最も生産効率の高い缶材工場として確かな地位を築いてきました。さらに、CUAが生産する自動車用パネルの母材供給も開始しました。
高まる自動車材需要に応えるべく、CUAでは2016年6月にサンプル出荷・販売を開始。構造材においても、Whitehallのブランド名で知られる自動車用構造材・部品のリーディングカンパニーを同4月に買収し、UWHとして子会社化。需要増大に応える体制づくりを進めました。またTAAでは、CUAへの母材供給体制を整える一方、供給懸念もある缶材供給力を高めるため、同11月に追加投資を決定しました。今後、この3社を軸にビジネス機会を積極的に取り込んでいきます。
2016年度のハイライト
- 軽量化を目的に自動車用パネル材の需要が増大
- 缶材メーカーも自動車向けにシフトしつつあり、缶材の供給懸念が浮上
- CUAが自動車用パネル材のサンプル出荷・販売を開始
- 自動車用構造材の北米リーディングカンパニーを買収し、UWHとして子会社化
- TAAの鋳造、冷間圧延ラインへの1億7,500万ドルの投資を決定、年間生産能力を40万トンに引き上げ
CUA:Constellium-UACJ ABS LLC
UWH:UACJ Automotive Whitehall Industries, Inc.
TAA:Tri-Arrows Aluminum Inc.
売上高推移

エリア解説 自動車向け需要の拡大と缶材の供給懸念、双方をにらみながら成長機会を獲得
米国のアルミニウム市場では、軽量化を目的に自動車用部材のアルミニウム化が拡大するなか、缶材のグローバルメーカーが自動車向けに生産をシフトしつつあります。一方で、同市場は世界最大の缶材消費地でもあり、今後も堅調な需要が見込まれるため、缶材の供給懸念が浮上しています。UACJは、両分野の需要動向を成長機会と捉え、積極的に対応していく考えです。TAAは缶材のリーディングサプライヤーとしての地位を確立する一方で、自動車用パネル材の母材供給拠点としての役割も果たしています。2016年11月に決定した設備投資により、缶材供給を担い続けるとともに、自動車向けの母材供給量の拡大を図っていきます。

積み重ねてきた体制整備とESG活動
缶・自動車材需要に応えうる体制へ


ESG Activity 1多様な知見を活かしてシナジー効果を発揮
UACJは、北米においてTAAや合弁によるCUAの立ち上げ、UWHの買収など、外部の力をグループ内に取り込むことで事業を拡大してきました。これにより、従来のUACJにはなかった多様なバックボーンを持つ人々が一緒に働くことで、さまざまなシナジー効果が生まれています。たとえば、TAAではCUAへの母材提供によって、従来からの製缶ノウハウに自動車用部材のノウハウが加わりました。また、UWHの買収により、同社の製造ノウハウが導入されるとともに、同社が蓄積した膨大なマーケティングデータがグループ全体の研究開発に活かされています。こうしたシナジー効果がUACJのグローバルな競争力をさらに高めると考えています。
ESG Activity 2鋳造ラインの増強により、リサイクル率も向上
世界有数の缶消費大国である米国では、リサイクルも盛んであり、1分間に12万7,000缶がリサイクルされるといわれています。TAAでも環境負荷低減に向けてリサイクルを積極的に行っており、ローガン工場では缶材の原材料の約80%がリサイクルアルミニウムです。また、同工場内で発生するスクラップ材を再資源化するだけでなく、外部からも受け入れています。こうした再資源化を可能にしているのが、同工場が誇る鋳造炉です。2016年11月に発表した設備投資により、生産力を増強し、より一層のリサイクル率向上にも貢献していきます。
