Furukawa-Sky Review No.7 (April 2011)
技術コラム
アルミニウムの腐食のおはなし その6
The Fundamentals of Corrosion of Aluminum VI
- 兒島 洋一
Yoichi Kojima - 本川 幸翁
Yukio Honkawa - 大谷 良行
Yoshiyuki Oya
5年ほど前,「アルミニウム合金と鉄鋼材料とで一番違うところは何か。」との甚だ漠たる質問を,博士課程での鉄鋼材料の研究を経験してから入社してきた材料屋研究員にしてみたところ,「アルミニウムはマルテンサイト変態しない。」との即答を得,目から小鱗の感があった。自問自答してみるに,「アルミニウムには活性態が見えない。」というのが腐食屋としてのその頃の思いであった。活性態が見えないことで,不動態化/脱不動態化,局部腐食の発生・成長がイメージしにくかったからである。最近では,「鉄は酸に易溶し,アルカリで不動化するが,アルミニウムはどちらにも溶ける両性金属で,アルカリ側でより溶けやすい。」という答がより相応しいと実感している。このような特徴に起因するアルミニウム(Al)の腐食挙動について,諸先達の研究に基づきながら"おはなし その6"として続けさせていただく。