UACJを支える資産

コーポレート・
ガバナンス

“ものづくり”に愚直に取り組み、企業価値を高めるべく、
マネジメント体制の充実を図っています。

基本的な考え方

UACJグループでは、コーポレート・ガバナンスを、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、さまざまなステークホルダー(利害関係者)との関係における企業経営の基本的な枠組みのあり方だと考えています。

UACJグループの責務は、社会的に有用で安全性に十分配慮した製品や技術、サービスの開発、提供を通じて、企業価値を継続的に高め、ステークホルダーに貢献することにあります。そのため、経営統治機能の充実や健全性、透明性の確保を重要な課題と捉え、取締役会や監査役会の機能強化を通じて、財務・経営情報の適切な開示、企業倫理の確立、コンプライアンスやリスク管理の徹底などを推進していきます。

コーポレート・ガバナンス体制図

ガバナンスの仕組み

ガバナンス体制

UACJでは、執行役員制度の導入により、「経営の意思決定および監督機能」と「業務執行機能」を分離することで、取締役会の機能強化と、業務執行の迅速化を一層図っています。

UACJの取締役会は、取締役12名(うち社外取締役2名)と監査役6名(うち社外監査役4名)の出席のもとに毎月開催し、法令・定款および社内規程に基づき、経営上の重要事項についての審議、業務執行状況の報告を行っています。

加えて、取締役10名、常勤監査役2名および執行役員20名による経営会議を毎月定期的に開催し、重要事項に関する審議・検討を行うとともに、業務執行責任者間の一層の意思疎通を図り、統制のとれた業務執行につなげています。

また、UACJでは監査役会制度を採用し、監査役6名(うち社外監査役4名)からなる監査役会を設置しており、このうち2名は財務および会計に関する専門的知見を有しています。また、監査役会機能を充実させるため事務局として、監査役の職務を補助すべき使用人2名を配置しています。

監査役は、取締役会をはじめ社内の重要会議に出席するなど、コーポレート・ガバナンスの一翼を担う独立した機関として、取締役の職務執行を監査しています。毎月開催する監査役会では、年度ごとの監査方針・計画の作成に加え、内部統制システムの整備・運用状況、リスクの未然防止、経営課題への取組状況などについて監査するとともに、常勤監査役からの定例監査報告によって情報の共有化を図っています。

取締役会の実効性評価

UACJでは、取締役会の実効性を分析・評価するため、各取締役および監査役を対象に、取締役会の構成や運営などに関するアンケートを実施しました。

その回答結果をもとに協議した結果、当社の取締役会は適正な規模で多様性あるバランスの取れた構成となっていること、運営状況が適切で経営に対する監督機能を発揮できていることを確認しました。また、取締役会における議論についても、事前の検討会をはじめ取締役会へ至るプロセスを含め、自由闊達で建設的な議論や意見交換を尊重する文化が醸成されていることを確認しました。

一方で、大所高所からの経営判断や経営戦略などに基づく議論をより活発にすること、社外役員に対する事前説明の一層の充実を図ること、などを課題として認識しました。

コーポレート・ガバナンス・コードへの対応状況

UACJでは、東京証券取引所において2015年6月からコーポレート・ガバナンス・コードの適用が始まったことを受けて、ガバナンスのさらなる高度化に取り組んでいます。2016年6月の報告書では、新たに以下の取り組みを進めたことを報告しました。

  • 外部会計監査人の評価および選定基準を作成
  • 社外取締役との定期的な面談の実施
  • 中長期的業績と連動する自社株報酬などの導入を検討開始
  • 取締役会の実効性評価の実施

役員報酬

UACJの取締役と監査役の報酬は、2006年6月に開催された旧古河スカイ株式会社の定時株主総会における決議内容を、経営統合後も引き継いでいます。具体的な報酬額は、取締役は年額4億5,000万円以内(使用人分給与は含まない)、監査役は年額7,500万円以内を限度としています。

取締役への支給額は、株主総会で承認された限度額内とし、取締役会で決議しています。支給額の決定に際しては、常勤・非常勤および会社における地位に応じて基本金額を定め、さらに報酬の一部は業績と連動させています。

監査役への支給額についても、株主総会で承認を得た限度額内で、監査役の協議により決定しています。

なお、UACJグループでは、役員報酬にストックオプション制度を採用していません。

当事業年度に係る取締役および監査役の報酬等の額
区分 人数 報酬等の額
取締役
(うち社外取締役)
14名
(2名)
361百万円
(13百万円)
監査役
(うち社外監査役)
8名
(5名)
60百万円
(11百万円)
合計
(うち社外役員)
22名
(7名)
421百万円
(24百万円)

注: 上記には、平成27年6月26日開催の第2期定時株主総会終結の時をもって退任した取締役2名および監査役2名を含んでいます。

役員へのトレーニング

UACJでは、取締役や監査役が適切に職務を遂行できるよう、新任時および在任期間中にさまざまな研修を実施しています。

新任時研修では、取締役や監査役の役割と責務を理解するとともに、社外役員に対しては当社グループの事業や財務、組織などに関する理解を図っています。

また、在任期間中の継続研修として、合宿形式で、ガバナンスに関する理解を深めるとともに当社グループの課題について議論する場を設けています。加えて、個々の知識・経験・能力に応じた研修の機会を提供しています。

この他にも、必要に応じてグループ事業報告会などに出席することで、事業内容への理解を深めています。

役員選任について

UACJでは、取締役の選任にあたっては、取締役会全体の知識・経験・能力のバランスや多様性などに配慮しながら、キャリアや能力などの人事評価をもとに、適切に決定しています。

なお、当社は東京証券取引所の社外役員の独立性に関する事項の要件を満たす独立社外取締役を2名選任しています。その選任にあたっては、会社法および東京証券取引所が定める基準を参考に、取締役会において率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる方を適切に選定しています。今後の環境変化によって増員の必要が生じた場合も、同様の方針で適切に候補者を選定します。

社外取締役・監査役の選任理由と活動状況
区分 氏名 選任理由 活動状況
社外取締役 鈴木 俊夫 東京大学の名誉教授を務めるなど、豊富な学識経験をもとにした客観的観点から、職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外取締役をお願いしています。 当事業年度に開催した取締役会14回のすべてに出席し、大学名誉教授としての豊富な学識経験を基にした客観的視点での発言を必要に応じて行いました。
杉山 涼子 常葉大学の教授としての豊富な学識経験に加え、企業の取締役として経営に携わられた経験を有しており、職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外取締役をお願いしています。 取締役就任後に開催した当事業年度の取締役会11回のうち10回に出席し、大学教授や企業の取締役としての経験を基にした客観的視点での発言を必要に応じて行いました。
社外監査役 浅野 明 総務部長をはじめ、企業の幹部として経営に携わってこられたなかで培われた知識や経験を活かし、職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当事業年度に開催した取締役会14回、監査役会13回のすべてに出席し、企業の幹部として培われた経験を基にした発言を必要に応じて行いました。
佐藤 哲哉 古河電気工業株式会社の監査役を務めるなど、豊富な経験と幅広い見識を有しており、職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当事業年度に開催した取締役会14回のうち13回、監査役会13回のうち10回に出席し、企業役員としての豊富な知識と幅広い見識を活かした発言を必要に応じて行いました。
曽根 貴史 住友商事株式会社で常務執行役員を務めるなど、企業経営における豊富な経験と幅広い見識を有しており、職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当事業年度に開催した取締役会14回、監査役会13回のすべてに出席し、企業役員としての豊富な知識と幅広い見識を活かし、必要に応じて発言を行いました。
松村 篤樹 シルトロニック・ジャパン株式会社の代表取締役社長として企業経営の経験を有するほか、新日鐵住金株式会社の経営企画部において同社グループの経営に携わるなど、豊富な知識、経験を活かして職務を適切に遂行していただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 監査役就任後に開催した当事業年度の取締役会11回のうち10回、監査役会10回のすべてに出席し、企業役員としての経験を基にした発言を必要に応じて行いました。

情報開示

UACJは、投資家に対して適時適切な情報開示を行うため、広報IR担当役員を開示責任者、広報IR部長を事務責任者とする体制を整備しています。

具体的には、金融商品取引所の定める諸規則に基づき、開示を要する事項に該当する可能性のある情報については、当該事項を所管する部門の長が、ただちに広報IR部長に報告することとしています。報告を受けた広報IR部長は、必要に応じて法務部長との協議のもとに開示の要否を判断し、関係する部門の長および社長の承認を得て開示します。

適時開示体制

株主との建設的な対話

UACJでは、広報IR担当取締役を選任するとともに、IR担当部署として広報IR部を設けています。

株主や投資家に対しては、決算説明会を四半期に1回開催するとともに、ワンオンワンミーティングやスモールミーティング、工場見学会などを適宜、実施しています。

また、米国や欧州、アジアにおいて投資家訪問を年1回実施することを基本方針としています。

さらに、ウェブサイトを通じた情報発信やアニュアルレポートの発行などにより、情報開示の充実に努めています。なお、当社ウェブサイトは日興IRの「2015年度ホームページ充実度ランキング」において全上場企業中で総合6位を獲得するなど、外部機関からも高く評価されています。

工場見学会

コンプライアンス

UACJグループは、堅実かつ公正な事業活動を続け、社会から信頼される企業グループとなるべく、グループ会社を含むすべての従業員が遵守すべき事項を定めた「グループ行動規範」を制定し、配布しています。海外グループ会社の従業員にもこの規範を周知し、共有するために、英語、中国語、チェコ語、インドネシア語、タイ語、スペイン語およびベトナム語などの現地公用語版を発行しています。

さらに、独占禁止法をはじめとした法令に関する教育をグループ会社の従業員向けに実施しています。

リスクマネジメント

UACJグループでは、業務上発生する可能性のあるリスクについて、部単位で洗い出しとリスク評価を行い、全社で共有する横断的なリスク管理活動を実施しています。洗い出したリスクについては、対策とその期限、進捗状況などを「リスク管理表」に取りまとめ、社内で情報共有をするとともに、CSR委員会に報告し、対策の妥当性等を評価しています。

また、大規模地震に対応するBCP(事業継続計画)を見直し、従業員の安否確認、製造所間の代替生産や本社被災時の機能移転など、速やかに事業復旧を図るための体制も構築しています。

CSRマネジメント

UACJでは、社長を委員長とし、常勤役員、製造所長、本社部長および事業統括会社等の社長を委員とする「CSR委員会」を設置し、全社を横断的に統括するCSR推進体制を構築しています。CSR経営の強化に向けて、年一回開催されるCSR委員会では、コンプライアンスやリスクマネジメントをはじめとしたCSR全般に関わる方針・施策などの審議および報告、役員や幹部社員への教育・啓発などを行っています。なお、同委員会で審議された方針・施策は、各委員を通して当社およびグループ会社に周知、展開されています。