タイでの今UACJ (Thailand) Co., Ltd.特集 タイでの今

UACJ (Thailand) Co., Ltd.日本で培った技術・設備を融合させ
アジア市場の発展をリードする。

プロフィール

山口 明則
UACJ (Thailand) Co., Ltd. 社長

1985年古河電気工業(株)に入社。2009年に古河スカイ(株)製板事業部 福井工場製造部長、2011年には、同社製板事業部福井工場長に就任。2013年同社執行役員となり、現UACJ (Thailand) Co., Ltd.社長に就任。

アルミニウムの一貫生産を有するアジアの基幹工場

UACJグループは、アジアの基幹工場として、UACJ(Thailand)Co., Ltd.(以下、UATH)ラヨン製造所の建設を進めてきました。2014年1月に稼働した冷間圧延・仕上げラインに続き、2015年8月には鋳造工程からの一貫生産ラインが完成し、本格操業を開始しました。タイをはじめアジア地域には、アルミニウム材を原料とする缶メーカーや熱交換器メーカーの工場が数多く集まっています。その首都バンコクの国際空港から約100km、港にも約30kmという絶好のロケーションに約500,000m2の広大な敷地を有するラヨン製造所は、優れた地の利と高い生産能力を活かして、アジア経済の発展を支えながら成長を目指します。東南アジアにおいて、アルミニウムの一貫生産体制を有する工場はラヨン製造所以外にありません。現在は缶材の製造が中心ですが、今後は市場ニーズに合わせて製品ラインナップを拡大させていく予定です。UATHの山口社長は、力強く語ります。「タイでは、近年、製造業を強化しようという気運が高まっています。国を挙げて研究開発を推進しており、最近は電動の路線バスの生産が開始されるとの発表もありました。今後も産官学の連携などによって、UATHにも多くのビジネスチャンスが生まれる可能性があります。ラヨン製造所の開所式が現地メディアでも大きく報じられるなど、タイの社会における期待の大きさをひしひしと感じました。この国のアルミニウム圧延メーカーのパイオニアであるUATHの成長は、そのままタイの産業発展にもつながります。それがUATHで働く人々のモチベーションにもなるはずです」

旺盛な需要に対応して2020年度までに年産30万トン体制を目指す

ラヨン製造所の当面の目標は、日本国内の製造拠点と同等の品質と生産能力を実現することです。2016年後半に月産1万トン体制を確立し、2017年度には年間20万トン体制を構築する計画です。さらに、2020年度までには、日本の基幹工場である福井製造所や名古屋製造所と同等の年間30万トン体制の確立を目標に掲げています。品種としては、当面、缶材と自動車用熱交換器材の製造を中心に確固たる事業基盤を築いていきます。山口社長は、「今後、従業員教育と設備増強に資源を集中的に投下し、生産能力の強化に努めていきます。アルミニウム需要が拡大する東南アジアに加えて、中東諸国にも販路を拡大する計画ですが、世界中どこからオファーをいただいても、製品を出荷できる体制を整えていきたいと考えています」と、述べています。

アジア・中東の総需要

技術・人材を強化してオペレーションのローカル化を推進

ラヨン製造所では、日本流のものづくりをそのまま展開するのではなく、現地の文化や従業員の気質などに合わせたものづくりを追求し、それに一層磨きをかけていくことで、当工場ならではの強みを際立たせていく方針です。そのためには、現地スタッフ一人ひとりが、高いモチベーションを持って業務に取り組むことが重要になります。

本格操業を迎え、ラヨン製造所の従業員数は約800名に拡大しました。山口社長は、「製品開発や生産技術に関しては今後も日本のエンジニアのフォローが必要になると思いますが、製造オペレーションについては、現地スタッフだけで完結できる体制にする方針です」と語ります。

その実現に向けて、細かな作業一つひとつを「標準手順書」に記述して作業の目的や進め方を共有化するとともに、生産立ち上げ時には日本人エンジニアがOJTで熱心に指導するなど、現地スタッフの教育に全力を注いできました。すでに第1期に稼働したラインでは、現地スタッフだけでオペレーションされています。「すべての従業員にUATHでものづくりに携わる“誇り”を感じて欲しい。そしてアルミニウムの可能性を追求し、自らの手でこの国を発展させていくという気概をもって働いていただきたいと考えています」

高度な技術導入の橋渡し役を担いながら母国の成長に貢献していく

Nopadol KaewngarmElectrical Engineering Sct.
Engineering and Maintenance Dpt.
マネージャー

UATHが、2016年度後半の目標に掲げる月産1万トン体制を実現するためには、従業員が一丸となって、設備の停止時間をできる限り低減させ、継続的かつ高効率な24時間操業を実践していく必要があります。そのためには、オペレーションスタッフのスキルアップはもちろん、日本人エンジニアからタイ人エンジニアへの確実な技術継承が重要となります。私は、電気エンジニアのマネージャーとして、その橋渡し役も担っており、責任の重大さと同時に、日本の優れた生産技術やノウハウに直に触れることのできるやりがいを感じています。
私のモットーは、「何事も継続的かつ前向きに取り組めば、できないことはない」ということです。これからも日々一歩一歩努力を継続し、UATHとタイ社会の発展に貢献していきたいと考えています。