北米での今②Constellium-UACJ ABS LLC特集 北米での今②

Constellium-UACJ ABS LLC自動車用アルミニウム材の需要拡大に応え、
新工場の最先端生産ラインが本格稼働。

プロフィール

Dave Davis
Constellium-UACJ ABS LLC 工場長

機械エンジニアであり、プロセスやチームリーダーなどさまざまな立場で、1984年から12年間、Logan Aluminum Inc.に勤務。一時期会社を離れた後、2002年に再入社し、さらに12年間勤務。2014年にConstellium-UACJ ABS LLCのプラントマネージャーとして採用された。

年間10万トン規模の最新鋭工場が操業開始

米国での自動車用アルミニウム材の需要拡大に応えるため、日本のNo.1メーカーUACJと欧州企業Constelliumとの合弁会社として、Constellium-UACJ ABS LLCが設立されました。この新工場は、世界最大のアルミニウム工場であるローガン工場から安定的に母材の供給を受け、最先端の表面処理ラインを駆使して日・米・欧の自動車メーカー向けのアルミニウム製品の生産を開始しました。

2016年4月初旬、新工場の生産ラインから最初のホットコイルが製造され、年間生産能力10万トン規模の工場が操業を開始しました。デービス工場長は、「この最初のコイル出荷は私たちにとって非常に大きな第一歩であり、早期に利益を創出していきたいと思っています。今後も共同で安定した操業を継続し、生産能力の向上を図っていきます」と語ります。「私たちの強みは優れた人材にあります。設備はどこでも購入できますが、他社との違いを生み出すのは『人』です。そのため、私たちは、自ら率先して適切な行動のできる人材の採用に力を注いでいます」

燃費規制を追い風にして、世界の主要自動車メーカーとのビジネスを拡大

2020年までに一定基準の燃費改善をすべての自動車メーカーに義務づける燃費規制の導入は、アルミニウム産業にとって大きな追い風となっています。自動車メーカーは、より一層の車体の軽量化を図るために、自動車用パネル材を鉄からアルミニウムに変更しつつあります。北米の自動車用アルミニウム板材の需要は、2016年の約70万トンから、2020年には約100~120万トンへと拡大すると予測されています。

アルミニウム産業にとって、自動車メーカーは潜在性の高い重要なお客様です。「当社では、米国の自動車企業の担当者と、自動車メーカーの素材ニーズや、アルミニウムメーカーである当社が何を実現できるかについて話し合いました」とデービス工場長は説明します。「その結果、自動車分野には、多くのビジネス機会があると実感しました。今後、ビジネスを前進させていくためには、彼らの要望に適確に応えていくことが重要です。また、当社では日本の自動車メーカーとのパートナーシップ構築についても話し合いを開始する予定です」

今後の市場拡大を見据えて、ライン増設を前向きに検討

Bill Pfund Constellium-UACJ ABS LLC CFO

今後の事業の可能性について、非常に明るい見通しを持っています。企業平均燃費(CAFE)規制の基準や要件を考えると、北米の自動車用アルミニウム材市場は、現在の年間約70万トン規模から、2020年には約100~120万トン規模にまで成長すると期待されています。これは非常に魅力的な市場といえます。
この旺盛な需要に応えていくため、当社では委員会を発足させ、現在、資本コストや人件費、相乗効果などを考慮しながら、さらなるラインの増設について検討を開始しています。今後も北米の自動車用アルミニウム材の市場動向を注視しながら、前向きに投資計画を検討していきます。