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人的資本の考え方

近年、人材は企業価値向上を支える重要な「資本」と捉えられ、その活用・最適化やエンゲージメント向上は経営戦略上の重要課題となっています。当社グループでは、人口減少や価値観の多様化などを踏まえて人材に対する考えや施策を改めて整理し、経営として共通の思いや戦略上の位置づけを共有した上で、グループ全体で同じ方向を目指すことが不可欠だと考えています。
当社グループは「100年後の軽やかな世界」の実現に向けて、「誰もが幸せを感じられる健やかで調和のとれた社会へ」というWell-beingのありたい姿を掲げています。そのなかで、一人ひとりの「Well」が家族や地域、社会の「Well」に繋がり、再び一人ひとりに返ってくる「WellのWAVE」をWell-beingと捉えました。従業員が「働く」ことを通じて「幸せ(Well-being)」を感じられる環境を整えることが、個人のパフォーマンス向上やイノベーションを生み出し、ひいてはグループの「経済価値・企業価値」の向上へと繋がる―このような関連性のもとで人的資本の捉え方を整理しています。こうした考えのもと、2025年9月に策定した「UACJピープルステートメント」と「人的資本経営の全体像」では、グループで働く一人ひとりのWell-beingを重視しています。そして、人材戦略の3本の柱である「組織づくり」、「人づくり」、「働く環境づくり」の施策のなかで、従業員の「Well」とは何か、その「Well」の向上に繋がる施策は何かを整理することで、働く一人ひとりのWellと人材力・組織力の向上の好循環を実現していく、その活動全体を人的資本経営と捉えています。
人的資本経営の全体像で示した施策の実行に向けては、人材戦略部が中心となりロードマップを取りまとめ、所管部署と連携して2026年度から取り組みを開始するとともに、ウェルビーイング対話会等を通じて、「UACJピープルステートメント」の浸透を進めています。

UACJピープルステートメントと人的資本経営の全体像

経営戦略と連動した人材戦略

上記の「Well-beingを起点とした価値創造」の考え方は、当社グループの経営戦略を推し進めるエンジンそのものです。
当社グループは、第4次中期経営計画において、素材提供企業から「素材+α」の付加価値提供企業への変革をコンセプトに掲げています。この変革を加速させ、新たな価値創出と持続的な事業運営を両立する強固な人的基盤を構築するためには、「働く一人ひとりのWell-being向上」と「人材力・組織力の向上」の好循環を実現していくことが不可欠であり、これらを人材戦略の基本方針として定めています。
そして、「働く一人ひとりのWell-being向上」に向けては、「わたしたちの働くWell」「わたしの働くWell」「わたしの心と体のWell」の3つの視点から一人ひとりの従業員の心身の健康と働きがいを追求し、「人材力・組織力の向上」に向けては、「UACJ VISION 2030」の実現を目標に、各事業・機能戦略に必要な人材の質と量を最適化する人材ポートフォリオの充足および組織の活性化を図るエンゲージメントの向上を目指します。
これらの基本方針に基づき、多様な個々人の活躍を掛け合わせる「組織づくり」、人材の獲得・育成を通じて能力を最大限に引き出す「人づくり」、安全・安心かつ健康的な「働く環境づくり」という3つの人材戦略を柱とした施策に一体的に取り組む方針です。そのなかで、それぞれの戦略に紐づく9つの主要施策のもと、適切な指標を設定した上で具体的な施策を推進し、効果検証を行いながら着実に成果を出していくことで持続的な企業価値向上を目指します。

指標と目標

「働く一人ひとりのWellと人材・組織づくりの好循環」の実現に向けては、「働く環境づくり」、「人づくり」、「組織づくり」という三位一体の人材戦略に、グループの各社・各部門が連携して取り組むことが重要です。そこで、グループ全体が一体となって3つの人材戦略を実行し、企業理念の実現および企業価値向上に繋げていくために、2026年度・2027年度のロードマップを整理しました。
このロードマップでは、「働く一人ひとりのWell-being向上」と「人材力・組織力の向上」について、それぞれ最終KPIを設定するとともに、最終KPIの改善に繋げる中間KPIを設定しています。
中間KPIの改善に繋がる人事施策については、京都大学の砂川伸幸教授・山田和郎准教授等とともに実施したWell-beingと人事施策の関係性についての調査研究において、Wellスコアとの間に統計的有意差をもって相関性が確認できた人事施策に絞り込んで実施していく方針です。

経営戦略と人材戦略の連携

人的資本ガバナンス

当社グループは、経営戦略と人材戦略の連動を深化させるため、実効性の高いガバナンス体制を構築しています。2022年度には、社長執行役員の諮問機関として「人材委員会」を設置しました。本委員会は、社長執行役員を委員長とし、執行役員、本部長、および各事業責任者を委員として構成しています。人事部長および人材戦略部長から人材戦略の進捗状況を報告・共有し、各委員の審議・確認を経て、必要な改善策の検討および実施を推進しています。また、社外取締役の参加により、客観的な視点からの助言・提言を得ています。

人的資本活用と企業価値向上の実現

当社は「価値創造プロセス」を設定し、人的資本・製造資本など6つの資本を活用して企業価値向上の実現を目指しています。
「人的資本」が企業価値向上にどのように寄与しているのかを考え、人的資本をより有効的に活用するための人材戦略・人事施策の策定・実施は大変重要な事項です。
製造資本を最大限に引き出すには、それを動かし、改善し、イノベーションを生み出す人的資本の活用が必要不可欠と考えています。
「人的資本」と「製造資本(投下資本)」が企業価値向上の財源創出にどのようなインパクトパスで繋がっているか、企業価値創出の関連性を注視し、検証することは企業運営を進める上で重要事項と考えています。この2つの資本の使用と財務的資源創出の定点観測を実施して人的資本が有効的・効果的に活用されているかを確認することは重要です。
具体的には人的資本額をコストアプローチ的視点で捉え、企業価値を創出する財源である「Adjusted EBITDA+人的費用(人的費用前Adjusted EBITDA)」が「投下資本+人的資本」を使用してどの程度創出されているのかを見えるようにすることで、人材戦略や事業戦略の検討・実施の有効的な管理指標として活用をしたいと考えています。また人的資本活用の実効性を高めるために人材戦略・人事施策の有効性確認も大変重要であり、すでに実施しているエンゲージメント調査・Well-being調査を活用して調査結果を分析し、人材戦略・人事施策の立案など人的資本活用の高度化を進めています。
人的資本をどのように捉えるか(人的資本の範囲、数値化など)やエンゲージメント調査の結果分析については、京都大学経営管理大学院砂川伸幸教授、山田和郎准教授の協力を得ながら「UACJ人的資本活用モデル」の体系化を進めています。次期中期経営計画(2028年度以降)策定検討や計画・実績管理において、人的資本活用と財務的資源創出の定点観測を策定したモデルで管理していくように考えています。

人的資本に関わる評価指標