リリース・お知らせ 2024年

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工場排熱活用「熱音響冷却システム」実用化に向け検証開始
—排熱を冷却エネルギーに変換、CO2排出量を抑制へ—

2024年2月6日

株式会社UACJ(本社:東京都千代田区、代表取締役:石原美幸)は、中央精機株式会社(本社:愛知県安城市、代表取締役社長:牛尾理、以下「中央精機」)が開発した「熱音響冷却システム」をUACJ押出加工名古屋にて2023年12月に試験導入し、実用化に向けた実証実験を開始しました。

「熱音響冷却システム」とは、音波を介して、排熱を冷却エネルギーに変換するもので、中央精機がシステム開発し、2022年8月に発表したものです。本システムを工場で利用することにより、生産工程で発生する低温排熱を有効に活用することができ、CO2排出量の抑制が実現します。

当社は、Scope1・2におけるCO2排出量を2030年度までに30%削減することを目指し、2050年のカーボンニュートラル実現に向け挑戦しています。これらの実現を目指し、長期経営ビジョン「UACJ VISION 2030」実現に向けた活動の一つとして、排熱など、工場由来のエネルギーを活用したソリューションの開発を掲げ、多角的な検証を続けています。

当社では、300℃以上の排熱については、従来からリジェネバーナーにより熱を繰り返し利用してきていましたが、300℃未満の排熱については、熱回収効率が低いため、回収や活用の技術は確立できていませんでした。今回試験導入するシステムでは、アルミニウムの組織を調整する熱処理炉などで発生する200℃~400℃といった比較的低温の熱を回収することができます。回収された熱は、音波を介して冷却エネルギーに変換されます。製造所内の設備冷却や事務所の空調機などの冷却機器を本システムの冷却機能で代替することで、CO2排出量の削減が見込まれます。

熱音響冷却システムの仕組み
試験導入した熱音響冷却システム

今後、本実証実験を通して、中央精機ではシステムの効果の最大化と、より高温排熱の活用を検証していきます。当社では、本システムを活用するため、生産設備側や空調機側の受放熱の制御について開発検討を行うとともに、CO2排出量削減効果を検証していきます。さらに、各設備への展開や、2025年以降にはUACJグループの各製造所での導入を目指すとともに、熱マネジメント技術を蓄積して、環境技術のビジネス展開にもつなげていきたい考えです。

UACJは、今後も省エネのさらなる推進に向けた技術開発を行い、環境負荷を減らし、軽やかな世界の実現を目指してまいります。

※ 2019年度比・原単位

中央精機概要

所在地 愛知県安城市尾崎町丸田1-7
代表者 代表取締役社長 牛尾理
事業内容 自動車用スチール・アルミホイール・自動車用LPG容器の生産、タイヤ組付けなど

UACJについて

株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーです。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。

UACJは、2013年に古河スカイ株式会社と住友軽金属工業株式会社が経営統合し発足した会社で、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持ちます。グループ内に板、自動車部品、押出・加工品、鋳鍛、箔の5つの事業を持ち、飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業などの幅広い分野にアルミ素材を供給し、人びとの暮らしや産業を支えています。

板事業では、北米・タイ・日本の3極グローバル供給体制を構築しており、自動車部品事業では、北米・中国・日本で合金開発から設計までの一貫生産体制を生かしたビジネスを展開しています。2023年3月期の連結売上高は9,629億円、グループ従業員は約9,500人です。