サステナビリティマネジメント
サステナビリティの考え方
当社は、サステナビリティ活動を企業経営の存在意義が問われる中核要素として捉え、グループ一体となって推進していく必要があると考えています。そのために、当社グループが社会とともに持続的に成長していくうえで優先的に取り組むべき「マテリアリティ(重要課題)」を特定しました。また、現在進めている第3次中期経営計画においても、重点方針の一つにサステナビリティ推進を位置づけています。
持続可能な社会づくりに貢献できる企業でなければ、将来にわたって事業を継続できない―この危機感、使命感のもと、当社は社会に対してより良いインパクトのある実効性の高い活動を推進しています。
サステナビリティ推進体制
当社は、サステナビリティ活動の責任を明確化するとともに意思決定の迅速化を図り、各種の取り組みを着実に推進するため、2022年度より、新たなサステナビリティ推進体制を構築しました。
具体的には、6つのマテリアリティごとに責任者および管掌部署を定め、それぞれが予め設定されたKPIに基づいて進捗状況を把握します。さらに、これらの進捗状況を定期的に開催する分野ごとの報告会議体で報告および討議を行うことで、取り組みの実効性を高めています。
2023年4月には「サステナビリティ推進本部」を新たに設置。今後は、この推進本部が中心となり、社会課題解決を起点とする顧客への価値提供と新たなビジネスモデルの創出を図っていきます。
マテリアリティ推進体制(組織と会議体)
マテリアリティ項目 | 責任者 | 担当部署 | KPIモニタリング(報告会議体) | |
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会議体名 | 頻度 | |||
「アルミ二ウムの循環型社会」の牽引 | 気候変動対策推進担当役員 | 気候変動対策推進部 安全環境部 |
環境委員会 | 年3回(6月・10月・2月) |
気候変動への対応 | ||||
自然の保全と再生・創出 | ||||
人権の尊重 | ビジネスサポート本部長 | コーポレート法務部 | コンプライアンス委員会 | 年1回(3月) |
多様性と機会均等の浸透(DE&I) | サステナビリティ推進本部長 ビジネスサポート本部長 |
ダイバーシティ推進部 人事部 |
人材委員会 | 年2回(7月・11月) |
主なステークホルダーへの責任とコミュニケーション方法
主な責任 | コミュニケーション方法 | |
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お客様 |
製品およびサービスの品質維持・向上 社会に有用な製品・サービスの提供 幅広い技術と知見によるお客様の課題解決 |
日常取引における対話 ウェブサイト 技術展 顧客満足度調査 |
調達取引先 |
法令を遵守した公正な取引を通じた健全な関係の構築 サプライチェーン全体でのCSRの実現 |
日常取引における対話 |
地球環境 |
温室効果ガス排出量の削減 省エネ、リサイクルの推進 生物多様性保全 産業廃棄物の削減 有害化学物質の管理と削減 |
各種法規制への対応 地球温暖化防止に関する京都議定書、生物多様性に関する名古屋議定書などへの対応 環境省などの推進する環境運動への対応 |
株主・投資家 |
適正な利益の還元 適時・適切な情報開示 企業価値の向上 |
株主総会 株主通信 決算説明会 テレフォン・カンファレンス ワン・オン・ワン・ミーティング 株主工場見学会 ウェブサイト |
従業員 |
人権の尊重 人材の育成と公正な評価・処遇 労働安全衛生とメンタルヘルスを含む健康への対応 多様な働き方、仕事と生活の両立の支援 |
社内報 イントラネット |
地域社会 |
スポーツ・文化振興、次世代育成 伝統行事への協力、共催 地域NPO法人の業務支援およびNPO法人との協働 |
工場見学会 地域共催行事 地域清掃活動など従業員による社会貢献活動 |
外部評価
CDP2023「気候変動」「水セキュリティ」で「B」の評価を獲得
UACJは、2024年2月、環境情報開示イニシアチブであるCDPによる調査「CDP2023」において、「気候変動」「水セキュリティ」の両部門で「B」の評価を受けました。
マテリアリティの1つとして取り組む「気候変動への対応」などの開示情報の充実に務めたことなどが評価につながっているものと考えています。
今回受けました「B」評価は、マネジメントレベルに該当します。
CDPについて
CDPは、企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体です。2000年の設立以来、CDPは資本市場と企業の購買力を活用することで、企業が環境影響を開示し、温室効果ガスを削減し、水資源や森林を保護することを促進する取組みを先導してきました。現在では137兆米ドル以上の資産を保有する740を超える署名金融機関と協働しています。2023年には、世界の時価総額の3分の2に相当する23,000社以上、そして1,100以上の自治体を含む、世界中の25,000を超える組織が CDPの質問書を通じて環境情報を開示しました。CDPはTCFDに完全に準拠した質問書に基づく世界最大の環境データベースを有し、CDPスコアはネットゼロ、持続可能でレジリエントな経済を構築するために投資や調達の意思決定に広く活用されています。CDPは、科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)、We Mean Business連合、The Investor Agenda(機関投資家の気候変動対策推進イニシアチブ)、NZAMI(ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ:Net Zero Asset Managers Initiative)の創設メンバーです。
「SOMPOサステナビリティ·インデックス」の構成銘柄に二年連続選定
UACJは、SOMPOアセットマネジメント株式会社が運用する「SOMPOサステナビリティ·インデックス」における2023年の構成銘柄に選定されました。「SOMPOサステナビリティ·インデックス」は、2012年から設定されており、ESGに優れた約300社が毎年選定され、同社の「SOMPOサステナブル運用」に活用されています。「サステナブル運用」は、ESGにフォーカスした運用プロダクトです。本インデックスは毎年見直しが行われており、UACJのESGに関する取り組みが評価され、2022年から二年連続で選定されています。
外部イニシアチブへの参加
Aluminium Stewardship Initiativeの認証を取得
UACJは、福井製造所および連結子会社であるUACJ (Thailand) Co., Ltd. の2拠点において、「Aluminium Stewardship Initiative※」(以下、「ASI」)の認証を日系アルミニウム圧延メーカーで初めて取得しました。
認証を受けたのは、企業統治・環境・社会的責任について持続可能性や透明性を高めるための基準であるPerformance Standard、および加工・流通過程までの持続的な開発のための基準であるChain of Custody Standardの2種類です。2020年7月のASI加盟以降、約2年を掛けて本認証の取得に向けた取り組みを推進してきました。
今後も、日本のアルミニウムトップメーカーとして、アルミニウム業界のグローバルスタンダード策定にも積極的に関与して、事業へのフィードバックを行います。また、ASIの活動をメンバーの一員としてサポートすることで、社会のサステナビリティ向上に貢献していきます。
※ Aluminium Stewardship Initiative(ASI)は、アルミニウムのサプライチェーン全体におけるサステナビリティへの取組向上、ESG観点からの社会貢献を最大化することを目的とした国際イニシアチブで、国際アルミニウム協会、アルミニウム生産者、加工メーカー、エンドユーザーなど、さまざまな立場でアルミニウムに関わる企業・組織が参画しています。2012年の発足以降、2018年度から監査・第三者認証の運用が開始され、現在では世界中で300以上の企業・組織が加盟しています。
水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)に参画
UACJは、水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する団体「水素バリューチェーン推進協議会、以下「JH2A」)」に2021年3月4日より参画しました。
当社の製造するアルミニウム材は、水素バリューチェーンの中の物流や貯蔵に使用が見込まれます。このたび、早期に水素社会を構築させることを目的としたJH2Aの趣旨に賛同し、参画を決定しました。当社は、他の会員企業と連携し、高品質なアルミニウムの提供を通じて、水素社会の実現に貢献していきます。
国連グローバル・コンパクトに署名
UACJは、2021年4月、国際社会において持続可能な成長を実現するための国際的なイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」(以下、UNGC)へ署名しました。
UNGCは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)にてコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱し、2000年7月に国連本部で正式に発足してから現在に至るまでに、世界160カ国、12,000以上の企業・団体が署名しています。UNGCに署名する企業・団体は、「人権の保護」、「不当な労働の排除」、「環境への取り組み」、「腐敗防止」に関わる10の原則への賛同とその実現に向けた取り組みが求められます。
当社は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーとして、社会のサステナビリティ向上に貢献していきます。
「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同表明
UACJは、2021年9月、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しました。当社は、TCFDの提言に基づき、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの視点から、気候変動が事業に与えるリスク・機会について、積極的な情報開示を進めていきます。
「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加
30by30はG7各国の約束で、2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復させるというゴールに向け、陸域および海域の30%以上を健全な生態系として効果的に保全することを目標としています。UACJはこの趣旨に賛同し、環境省により創設された「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。