健康経営の推進
健康経営宣言
基本的な考え方
UACJグループは「従業員の安全・衛生・健康はすべてに優先する」という考えのもと安全衛生活動を続けてきました。そのうえで当社グループの継続的な発展は社員の健康の保持・増進抜きには実現できないものと考え、2021年に健康経営宣言を行い、社員の健康についてこれまで以上に積極的に取り組んでいく決意を表明しました。2024年3月には、従業員の健康管理に戦略的に取り組む「健康経営」に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2024」に初めて選定されました。また、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」にも初めて認定されました。
注: 認定者は「日本健康会議」です。


UACJグループ健康経営宣言
UACJグループは社員が心身共に健康であることが継続的な事業の発展を支える基盤との認識に立ち、社員がいきいきと働き、活気ある会社として「軽やかな社会」の実現を目指しています。
そのために会社と社員とその家族が一緒になって健康への意識を高め、未病に留まらず活力のある毎日を送るための取り組みを進め、心身の健康の維持・増進を図っていきます。
健康経営推進体制
UACJグループでは、健康経営宣言に基づき、以下の推進体制のもと社員の健康の維持・増進に努めています。社長を委員長とする安全衛生委員会には、全執行役員が参加し、活動内容・課題の共有と対策についての討議を行っています。
健康経営で解決したい経営上の課題
UACJグループは、心身の病気により長欠や休職を継続している社員がいる状況(アブセンティ-ズム)や出勤していても健康な状況でないために100%の実力を出して切れていない社員がいる状況(プレゼンティーズム)では、企業の継続的な発展は望めないと考えています。UACJグループとしては、アブセンティ-ズムとプレゼンティ―ズムの低減を図るとともに、社員のエンゲージメントを高めていくことで、社員が生き生きと働き、活気あふれ、多様な人材が入社を希望する魅力ある会社の実現を目指していきます。また、こうした健康経営の取組みが個人と組織のパフォーマンスを高め、ひいてはUACJグループの目指す姿である「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ」の実現につながっていくと考えています。
健康関連の最終的な目標指標
- アブセンティ-ズムの低減 (現在の数値、産業医意見を踏まえて、2027年度までに2.0人以下を達成)
- プレゼンティ-ズムの低減(2027年度までに世間平均である91.7%以上達成)
- エンゲージメントの向上(2027年度までに大手企業平均である総合指標3.34点以上達成)
- 注1: アブセンティーズムは従業員100人当たりの長欠・休職者数。3,201人測定。集計率100%
- 注2: プレゼンティーズムはWfunの総合評価。3,124人測定。回答率94.9%。
- 注3: エンゲージメントは㈱日経リサーチの組織活性化調査の総合指標(5点満点)。2,926人測定。回答率92.6%
当社の健康課題と改善目標
当社の健康課題 | 具体的な改善目標 |
---|---|
生活習慣病リスクの低減 | 適正体重維持者率(60%以上)の達成 |
喫煙率の低減 | 喫煙率(30%以下)の達成 |
メンタルヘルス不調による長期欠勤・休職者の低減 | メンタルヘルス不調による長欠・休職率(1%以下)の達成 |
月45H超過者の低減 | 45H超過者の年間発生率(100%以下)の達成 |
従業員エンゲージメントの向上 | 自主改革取組率の向上(80%以上) |
従業員の健康意識の向上 | 健康関係セミナー動画の受講率(100%) |
健康の維持・増進に向けた具体的な取り組み
生活習慣病リスクの低減
定期健康診断を100%実施するとともに、健康診断の結果と産業医の意見を踏まえ、再検査又は精密検査の受診を進め、精密検査受診率90%以上を目指しています。特定保健指導も健康保険組合と連携し、2024年度から対象者全員に健康保険組合理事長と各事業所長の連名で受診勧奨を始めました。また、特定保健指導に前向きに取り組めるように、生活指導改善プログラムのコースも増やして、選択制にしました。今後も特定保健指導実施率50%以上を目指して活動していきます。その他、1ヶ月の平均歩数等により健康ポイントを付与する制度を2024年度から導入しました。これらの施策等により適正体重維持者率60%以上を目指していきます。
喫煙率の低減
改正健康増進法の施行以降、継続的に事業所内での屋内喫煙所の撤廃、喫煙所そのものの削減を継続的に進めています。また健康保険組合と協力し、禁煙を希望する方の禁煙外来に係る自己負担額を0円とすると共に2023年からは禁煙サポート会社の卒煙プログラムを導入し、禁煙を希望する方への選択肢を増やし、利用しやすくしました。各事業所毎に全世界禁煙デーや毎月22日を禁煙デーとしてタバコのない1日を実施しているほか、衛生委員会で産業医からの喫煙による健康被害の講話を行う等、禁煙対策を進めています。
メンタルヘルス不調による長期欠勤・休職者の低減
定期的にストレスチェックを行い、社員自身でのストレス状況への気づきや、産業医/外部機関への相談を本人に促しています。また、心の健康づくり計画に沿って、新入社員教育におけるセルフケア教育の実施、新任管理職・新任組織長研修におけるラインケア教育の実施、Eラーニングでのセルフケア・ラインケアの教育、安全衛生委員会での産業医講話等、計画的に必要な教育を実施し、心の健康づくりに関する意識を高めています。その他、メンタルヘルスによる休職者の早期復職を支援していくために、リワークの活用、リハビリ勤務の実施、休業者管理システムの導入を行っています。
月45H超過者の低減
毎年度の人員計画編成時には、時間外労働と有給休暇の目標値を設定して人員計画を策定するとともに、当該人員数の確保に向けて、各事業所で新卒採用やキャリア採用、リファラル採用、アルムナイ採用等を継続しているほか、高齢者や女性の積極的活用も進めています。また、従業員の意識醸成の観点から、20時の一斉消灯、深夜・休日出勤届の提出、ノー残業デーの実施、労働時間教育、産業医面談継続時の上司の面談同席等を継続しており、長時間労働者の低減に一定の効果を出しています。
新型コロナウイルス感染防止対策として2020年度から暫定的に取り組んできた在宅勤務については、2021年度より制度化し、出社と在宅勤務をハイブリッドで組み合わせて勤務することを可能としました(部門長の判断により、完全在宅勤務も可)。これにより、通勤時間の削減等によるワークライフバランスの実現が進み、従業員のエンゲージメントの向上にも寄与しています。
従業員エンゲージメントの向上
2020年度より、毎年、UACJグループ会社の全従業員を対象に、エンゲージメント調査を行い、従業員の総合的な働きがいややりがいを示す指標や、それら指標を左右する因子(個人のモチベーション、職場の活気、人事諸制度やトップマネジメントへの評価)の把握を行っています。そして、エンゲージメント調査の結果を踏まえて、経営層における従業員との対話会の実施、人事部門における人事諸制度の改善、各職場における自主改革の取組みや優秀な自主改革の表彰や事例の職場への共有等、各階層でエンゲージメント向上に関する取組みを行っています。また、従業員向けにも、エンゲージメントや生産性の向上につながる仕事術やコミュニケーション術等に関するセミナーを開催しており、毎回、好評を得ています。なお、本セミナーについては、サプライチェーンの健康経営支援の観点から、構内協力会社の従業員も参加可能な仕組みとしています。
従業員の健康意識の向上
健康経営の実現のためには、従業員のヘルスリテラシーを高め、健康意識の向上を図ることが重要と考えており、2023年度より、各人の健康の保持・増進に役立てる様々な動画(3~4分程度)を毎月3本程度案内する活動等を始めています。従業員には、就業時間内のほか、休憩時間など隙間時間も活用して視聴することや、職場コミュニケーションの活性化の観点から、職場のメンバー全員で閲覧して意見交換すること等を推奨しています。また、動画を少しでも多くの方に視聴してもらうために、工場食堂や事務所のモニターでの配信、社内報での広報、労働組合の代議員会での周知、衛生委員会での配信・意見交換等、さまざまな取り組みを展開しています。2024年度からは受講率100%を目指して、定期健康診断会場での配信や、動画受講に対する健康ポイントの付与等を始めています。
健康経営の個別施策に関する投資額(千円/年)
(UACJ単体)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
生活習慣病関係 | 21,403 | 20,989 | 21,501 | 25,832 | 27,750 |
禁煙関係 | 0 | 20 | 52 | 0 | 243 |
メンタルヘルス関係 | 4,602 | 4,903 | 4,652 | 4,548 | 6,278 |
長時間労働関係 | 83,220 | 63,738 | 68,977 | 127,534 | 137,586 |
エンゲージメント関係 | 29,800 | 20,070 | 15,720 | 17,320 | 17,970 |
健康施策の取組状況に関する指標
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
定期健康診断実施率 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
精密検査実施率 | ― | ― | 48.9% | 73.4% | 86.3% |
ストレスチェック受検率 | 94.0% | 94.3% | 90.9% | 91.7% | 95.4% |
ハイリスク者の保健指導実施率 | ― | ― | ― | 76.4% | 100% |
特定保健指導実施率 | 7.7% | 11.0% | 13.4% | 22.1% | 19.4% |
女性の健康づくり支援に関する管理職の動画受講率 | ― | ― | ― | 100% | 100% |
禁煙デー実施日数 | 16日 | 28日 | 28日 | 28日 | 40日 |
禁煙プログラム参加数 | 0人 | 1人 | 3人 | 0人 | 5人 |
健康施策に関する従業員満足度(5点満点) | ― | ― | ― | 3.07点 | 3.25点 |
エンゲージメントセミナー参加数 | ― | ― | 71人 | 214人 | 242人 |
エンゲージメント調査参加率 | ― | 81.5% | 80.0% | 80.0% | 92.6% |
自主改革宣言率 | ― | ― | 95.0% | 64.0% | 18.8% |
自主改革取組率 | ― | ― | 57.0% | 63.5% | 80.0% |
月45時間超者の年間発生率 | 51.4% | 59.6% | 112.0% | 53.5% | 52.7% |
有給休暇取得率 | 65.4% | 53.8% | 62.0% | 69.0% | 65.6% |
従業員の意識変容・行動変容に関する指標
(UACJ単体)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
適正体重維持者率 | 53.7% | 57.8% | 62.0% | 60.8% | 61.1% |
運動習慣者比率 | 9.5% | 9.9% | 23.0% | 23.7% | 24.1% |
喫煙率 | 38.2% | 37.7% | 35.3% | 34.3% | 34.3% |
ハイリスク者の内服率 | ― | ― | ― | 62.9% | 25.6% |
従業員の健康経営動画受講率 | ― | ― | 3.4% | 27.7% | 99.1% |
健康関連の最終的な目標指標
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
アブセンティ-ズム | 2.87人 | 2.16人 | 2.63人 | 1.71人 | 2.44人 |
プレゼンティ-ズム | ― | ― | ― | ― | 90.9% 注: 2024年度は90.9% |
エンゲージメント(5点満点) | ― | 3.26点 | 3.27点 | 3.28点 | 3.3点 |
メンタルヘルス以外不調者の長欠・休職率 | 0.8% | 0.67% | 1.22% | 0.57% | 0.60% |
メンタルヘルス不調者の長欠・休職率 | 1.92% | 1.58% | 1.60% | 1.37% | 2.00% |
ストレスチェック高ストレス者率 | 15.2% | 14.7% | 15.7% | 18.7% | 18.5% |
自己都合離職率 | 3.1% | 2.8% | 3.1% | 3.1% | 3.7% |
総評:アブセンティ-ズムは2022年度に比べ増加しました。フィジカル面では健康保険組合等と連携した保健事業の展開により、運動習慣比率や喫煙率は着実に改善しています。今後も健康ポイント付与、特定保健指導、卒煙オンラインプログラム等を活用して更なる改善を目指していきます。メンタル面では、従業員のストレスチェックの確実な受検を今後も促進していくとともに、心の健康づくり計画に沿って、セルフケア教育やラインケア教育の着実な実行や2024年度から見直しをした外部EAP窓口の周知と更なる浸透を実施していきます。また、従業員の健康意識の向上がキーと考えており、様々な健康動画を毎月案内するともに、従業員が動画に自然と目を向けるように、定期健診会場や食堂前のモニター等でも積極的に配信しております。エンゲージメントは着実に改善しております。各種相談会やセミナーの開催等により、職場での自主改革の取組を支援しているほか、優秀な取組みの社長表彰やグループ会社内の横展開等を行っています。2023年度から測定を開始したプレゼンティーズムについては、今後も継続的に計測し、課題のある従業員への産業医面談の受診勧奨等を進めていく予定です。