コーポレートガバナンス
あらゆるステークホルダーの信用・信頼を獲得し、企業価値を高めるために、コーポレートガバナンスの充実を図っています。
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、UACJグループ理念に基づく事業活動を通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献し、それにより持続的な成長と中長期的な企業価値向上を達成することを目指しています。これにあたり、実効性のあるコーポレートガバナンス体制の整備と充実を最も重要な経営課題の一つであると捉えています。
UACJコーポレートガバナンス・ガイドライン(276KB/11ページ)
コーポレートガバナンス・コードへの対応状況
当社は、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。コーポレートガバナンス報告書において、東京証券取引所が開示を求めている14の原則、補充原則について開示しています。今後も、当社を取り巻く環境の変化などを踏まえながら、継続的にコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいきます。
コーポレートガバナンス体制
取締役会
当社は監査役会設置会社です。業務執行については執行役員制度のもと、経営の意思決定および監督機能と、業務執行機能を分離することによって、取締役会機能の強化と業務執行の迅速化を図っています。
業務執行機能の分離を明確化するため、社長は業務執行の最高責任者である執行役員の役位とすることを定款で定めています。
当社の取締役会は、2024年6月19日現在、取締役10名(うち独立社外取締役5名)と監査役5名(うち独立社外監査役3名)で構成しています。
取締役会では毎月、法令・定款と社内規程に基づき、経営上の重要事項についての審議と業務執行状況の報告を行っています。取締役会の議長は互選により選定し、現在は非業務執行の取締役会長が議長を務めています。2023年度は、主に第3次中期経営計画やマテリアリティ施策の進捗を監督するとともに、第4次中期経営計画策定に向けた議論を重ねてきました。
また、取締役会事務局の専任部署を設置し、実効性向上施策の実施、社外役員に対する工場見学の機会や各種情報の提供などの支援を行っています。
引き続き適切な取締役会運営を行い、当社グループの中長期的な企業価値向上を図ります。
コーポレートガバナンス体制図
コーポレートガバナンス体制概要
機関設計の形態 | 監査役会設置会社 |
---|---|
取締役の合計人数 | 10名(うち独立社外取締役5名) |
監査役の合計人数 | 5名(うち独立社外監査役3名) |
女性取締役比率 | 20% |
取締役の任期 | 1年 |
執行役員制度の採用 | 有 |
取締役会の任意諮問機関 | 指名・報酬諮問委員会 |
会計監査人 | 有限責任監査法人トーマツ |
取締役会の主な議題
分類 | 主な議題 |
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経営 |
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サステナビリティ |
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取締役会・役員 |
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株式・株主総会・投資家 |
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独立社外取締役の選任理由
氏名 | 独立役員 | 選任理由 | 活動状況 |
---|---|---|---|
池田 隆洋 | ○ | 池田隆洋氏は、大手化学メーカーの取締役として当該企業の経営及び当該企業グループ会社の経営に携わってこられた豊富な経験と、そこで培われた経営に関する広範な視野を活かし、引き続き当社グループの国内外のビジネス展開やリスクマネジメントをはじめとする分野において客観的視点から有益な助言をいただくとともに、取締役会を通じて適切に監督機能を果たしていただくことを期待し、社外取締役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 指名・報酬諮問委員会出席状況:11回中11回 |
作宮 明夫 | ○ | 作宮明夫氏は、大手電気機器メーカーの取締役副社長として当該企業の経営及び当該企業グループ会社の経営に携わり、当該企業の取締役等に係る人事や報酬に関する各種諮問委員会の委員・副委員長を務めるなど豊富な経験とコーポレートガバナンスに係る深い見識に基づき、引き続き当社グループの経営戦略やコーポレートガバナンスをはじめとする分野において客観的視点から有益な助言をいただくとともに、取締役会を通じて適切に監督機能を果たしていただくことを期待し、社外取締役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 指名・報酬諮問委員会出席状況:11回中11回 |
光田 好孝 | ○ | 光田好孝氏は、素材に関する豊富な学識経験及び大学運営や産学官連携に関わる豊富な経験に基づき、引き続き当社グループの研究開発やIT・デジタルの分野において客観的視点から有益な助言を行っていただくとともに、取締役会を通じて適切に監督機能を果たしていただくことを期待し、社外取締役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 指名・報酬諮問委員会出席状況:11回中11回 |
永田 亮子 | ○ | 永田亮子氏は、大手食料品メーカーの執行役員、監査役として当該企業の経営及び当該企業グループ会社の経営に携わってこられた豊富な経験と、そこで培われた経営に関する広範な視野を活かし、引き続き当社グループの経営戦略や営業・マーケティング、法務・ガバナンスの分野において客観的視点から有益な助言をいただくとともに、取締役会を通じて適切に監督機能を果たしていただくことを期待し、社外取締役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:12回中11回(取締役就任後) 指名・報酬諮問委員会出席状況:11回中11回(取締役就任後) |
赤羽 真紀子 | ○ | 赤羽真紀子氏は、多数の企業や環境省、大学等におけるサステナビリティに関するコンサルティングや支援活動を通じて得た豊富な知見と経験に基づき、引き続き当社グループのサステナビリティや海外ビジネスの分野において客観的視点から有益な助言をいただくとともに、取締役会を通じて適切に監督機能を果たしていただくことを期待し、社外取締役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:12回中12回(取締役就任後) 指名・報酬諮問委員会出席状況:12回中12回(取締役就任後) |
取締役会議長メッセージ
当社は監査役会設置会社として、取締役会の意思決定機能と監督機能を重視しており、車の両輪である双方の機能をともに高めていくことが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上につながると考えています。2023年度は、第3次中期経営計画の最終年として主にその進捗を監督するとともに、第4次中期経営計画策定に向けた議論を重ねてまいりました。また、第三者評価による分析・評価の支援のもと、取締役会実効性評価を実施しました。その結果を踏まえ、2024年度は、中長期的な重要課題に関する議論の質をさらに高めていくための取り組みを進めていくことといたしました。
取締役会議長として取締役会の実効性向上をリードすることで中長期的な企業価値向上を目指し、引き続き議長の役割と責務を全うしてまいる所存です。
取締役会長 石原 美幸
監査役会
監査役会は、コーポレートガバナンスの一翼を担う独立した機関として、取締役の職務執行を監査しています。監査の質的向上を図るため、監査役監査と内部監査、会計監査人による会計監査が相互に連携する三様監査体制を採用し、監査役会が監査役会規則に基づいて毎年定める監査方針・計画に沿って、主に内部統制システムの整備・運用状況、リスクの未然防止、経営課題への取り組み状況など、取締役の職務が適切に果たされているかを監査しています。
監査役会は、監査役5名(うち独立社外監査役3名)で構成され、うち2名は財務・会計に関する知見を有しています。
独立社外監査役の選任理由
氏名 | 独立役員 | 選任理由 | 活動状況 |
---|---|---|---|
入山 幸 | ○ | 入山幸氏は、大手鉄鋼メーカーの常務取締役を務め、企業経営の豊富な経験を有しており、また企業法務に精通する弁護士として職務を通じて培われた高度な法律の専門的知識を活かし、当社グループについて適切に監査を遂行し有益な発言をいただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 監査役会出席状況:14回中14回 |
山﨑 博行 | ○ | 山﨑博行氏は、企業会計に精通している公認会計士として財務・会計に関する豊富な経験を有しており、職務を通じて培われた高度な会計の専門的知識を活かし、当社グループについて適切に監査を遂行し有益な発言をいただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 監査役会出席状況:14回中14回 |
元山 義郎 | ○ | 元山義郎氏は、大手自動車メーカーの取締役副社長を務め、企業経営の豊富な経験を有しており、職務を通じて培われた経営に関する広範な視野を活かし、当社グループについて適切に監査を遂行し有益な発言をいただけるものと判断し、社外監査役をお願いしています。 当社としては、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、同氏を独立役員として指定しました。 |
取締役会出席状況:15回中15回 監査役会出席状況:14回中14回 |
指名・報酬諮問委員会
当社は、取締役、執行役員および監査役の指名ならびに取締役および執行役員の報酬などの決定過程について、客観性・透明性を高め、コーポレートガバナンスの強化を図るため、取締役会の諮問機関として、指名・報酬諮問委員会を設置しています。
この委員会では、独立性を重視し、委員長を独立社外取締役から指名するとともに、構成メンバーの全7名中5名を独立社外取締役から選任しています。
2023年度は、主に「社長執行役員の選任」、「社外取締役の相互評価」、「監査役の任期及び再任の考え方」、「役員報酬に関する2024年度方針」等を審議し、都度取締役会へ答申しました。
取締役・監査役のスキル向上
当社は、取締役・監査役が適切に職務を遂行できるよう、新任時及び在任期間中に以下の研修を実施することを方針としています。
新任時には、取締役・監査役の役割・責務の理解に加え、社外役員には当社の事業、財務、組織等に関する理解を深める場を提供します。また、在任期間中の継続研修として、ガバナンスに関する理解の深化と当社グループの課題に係る議論及び個々の取締役・監査役の知識・経験・能力に応じた研修の機会を提供します。
2023年度は、社外役員においては、国内外の事業所、グループ会社を視察し事業の理解を深めました。2024年度においては、ガバナンス、コンプライアンスに関する研修を実施していきます。
取締役・監査役に対するサポート体制
取締役会における議論を充実させることを目的に、ガバナンスに関する外部の専門家による講演会を聴講するなど各役員の意識と理解を深めるための支援を継続的に実施しています。
また、社外取締役と社外監査役に対しては、取締役会とは別に代表取締役との意見交換会を実施し、社外役員の意見を積極的に業務執行へ反映するように努めているほか、社外役員のみのミーティングも随時開催し、社外取締役と社外監査役との連携を支援しています。さらに取締役会開催時には資料の事前配布を行うとともに、社外役員に対しては必要に応じて、重要案件に係る事前説明の機会や社内役員の重要な会議体に参加できる機会なども設けています。
取締役会の実効性評価
当社では毎年、取締役会の実効性評価を実施し、取締役会の実効性向上に取り組んでいます。また、評価の中立性と客観性を担保し、取締役会の実効性向上に向けた取り組みをさらに深化させるべく、第三者評価による分析・評価を適切な間隔で実施しています。2023年度は2回目となる第三者評価を実施しました。
実効性評価のフロー
- 第三者評価機関が取締役会及び指名・報酬諮問委員会の資料・議事録を閲覧した後、取締役会議長及び取締役会事務局とディスカッションを行い、取締役会の傍聴を経てアンケートを作成
- 取締役、監査役が書面で回答し、その内容に基づいて、第三者評価機関が各役員へ個別インタビューを実施
- 第三者評価機関が取締役会で結果を報告、その後内容の分析と実効性向上施策について審議
主な評価項目
- 取締役会の役割、責務
- 取締役会での意思決定
- 取締役会の監督機能
- 取締役会の構成
- 取締役会の運営
- 指名・報酬諮問委員会のあり方
- 投資家・株主との関係
- 役員の自己評価
2023年度の評価結果
- 取締役会の規模や社内外の構成割合は適切である
- 取締役会の運営について、開催頻度や議論の時間、議題の内容と件数などは適切である
- 取締役会及び指名・報酬諮問委員会では活発な議論がなされている
- 指名・報酬に係る諮問事項は適切で公正なプロセスを経て取締役会への答申がなされている
- 2022年度の課題であった「重要課題のテーマアップの拡充」、「モニタリング機能の強化」に関し、適切な取り組みがなされた
今後の課題・施策
- 重要課題に関する議論の質をさらに高めるため、継続的な議論の実施や取締役会以外の議論の場を活用する
役員報酬
当社の役員報酬制度は、取締役がさまざまなステークホルダーの期待に応え、堅実・健全な事業発展を通じて広く社会に貢献できるだけの利益を創出し続けることに資するとともに、株価変動のメリットとリスクを株主の皆様と共有し、株価上昇および企業価値向上、ならびに中長期的な業績向上への貢献意欲を高めることを目的としています。この観点から制度が適切かつ効果的に機能するよう、報酬制度の見直しを適宜実施してきました。2024年度からは、新たな経営体制発足及び第4次中期経営計画がスタートしたことを踏まえ、中長期業績連動報酬制度に所要の改定を実施しました。制度の運用状況については毎年、指名・報酬諮問委員会においてモニタリングを実施しており、経営環境の変化や制度の運用実績を踏まえて今後も必要な見直しを検討していきます。
取締役及び監査役の報酬については、2018年6月21日開催の第5期定時株主総会、2021年6月22日開催の第8期定時株主総会、2023年6月21日開催の第10期定時株主総会及び2024年6月19日開催の第11期定時株主総会において、以下の通り決議されています。
- 取締役の基本報酬と短期業績連動報酬の合計の限度額は、年額650百万円以内(使用人分給与は含まない。社外取締役は基本報酬のみとし、うち年額110百万円以内)
- 取締役に対する中長期業績連動報酬はリストリクテッド・ストック・ユニット制度(RSU)及びパフォーマンス・シェア・ユニット制度(PSU)により構成すること。RSUの対象取締役は社外取締役を除く取締役とすること、PSUの対象取締役は非業務執行取締役を除く取締役とすること。支給する金銭報酬債権及び金銭の総額は、RSUについては1事業年度につき15,000株(うち、交付する株式数7,500株)、PSUについては1事業年度につき45,000株(うち、交付する株式数22,500株)に対象となる中期経営計画期間の年数を乗じた株数をそれぞれ上限として交付時の株価を乗じた額以内とすること
- 監査役の報酬限度額は、年額100百万円以内
a 役員報酬の考え方
- 当社の事業戦略上の業績目標(短期および中長期)を達成する動機づけとなる報酬制度であること
- 競争力ある報酬水準により、企業の成長を牽引する優秀な人材を確保し、その貢献意欲を高める報酬水準であること
- 報酬制度の決定プロセスは、客観性・透明性の高いものであること
- 株主と利害を共有し、株主価値の向上につながる報酬制度であること
b 報酬体系
- 当社の取締役に対する役員報酬は、固定報酬としての基本報酬、単年度の会社業績の達成度に連動する短期業績連動報酬、並びに中長期的な会社業績の達成度に連動する中長期業績連動報酬から構成されます。社外取締役の報酬は、その主たる職責が客観性・独立性を有した立場からの監督であることから基本報酬のみとしています。
- 基本報酬の水準については、役位ごとに外部専門機関による役員報酬調査データを参考に、当社の事業規模や業種が類似する企業等と比較したうえで決定しています。
- 短期業績連動報酬の額(標準額:支給率が100%の場合の額を指します。以下同様とします。)は、役位ごとに基本報酬の概ね35%~40%としています。
- 中長期業績連動報酬の額(標準額)は、役位ごとに基本報酬の概ね25%程度を単年度相当分とします。
役員報酬体系
c 業績連動の仕組み
短期業績連動報酬制度
評価要素 | 全社業績 | 連結当期利益、連結ROE、連結ROIC等 |
部門業績 | 部門営業利益、部門ROIC等 | |
SDGs評価 | 長期経営ビジョンで策定したマテリアリティにおける活動目標の達成度を評価(ウェイトは短期業績連動報酬全体の10%程度) | |
個人評価 | 主に単年度の全社、部門業績およびSDGs評価には反映されない重要な取り組み等を定性的に評価(ウェイトは短期業績連動報酬全体の10%程度) | |
評価期間 | 単年度 | |
業績による報酬変動幅 | 目標に対する達成度が100%の場合の支給率を100%とすることを基準に、達成度に応じて0% ∼ 200%の範囲で変動 | |
報酬の内容 | 金銭で支給 |
中長期業績連動報酬制度
RSU(3年間の勤務継続を条件として株式の交付および金銭の支給を行う仕組み)
評価要素 | 勤務継続を条件 |
評価期間 | 3事業年度 |
業績による報酬変動幅 | 業績により変動しない |
報酬の内容 | 権利が確定した割当てユニットの半分を株式で交付し、残り半分を金銭で支給 |
PSU(中長期の全社業績目標の達成度に応じて株式の交付および金銭の支給を行う仕組み)
評価要素 | 全社業績 | 連結ROIC、連結Adjusted EBITDA、連結D/Eレシオ |
TSR | 評価期間における当社TSR(株主総利回り)の成長率をTOPIX(東証価株指数の)成長率で除した値を基に評価 | |
評価期間 | 中期経営計画期間 | |
業績による報酬変動幅 | 目標に対する達成度が100%の場合の支給率を100%とすることを基準に、達成度に応じて0% ∼ 200%の範囲で変動 | |
報酬の内容 | 権利が確定した割当てユニットの半分を株式で交付し、残り半分を金銭で支給 |
d 報酬決定手続き
- 当社の役員報酬の方針及びその具体的な内容は、指名・報酬諮問委員会で審議し、諮問委員会からの答申を受けて取締役会で決定しています。指名・報酬諮問委員会は、半数以上が独立社外取締役で構成されるとともに、必要に応じて外部の専門家からの助言も得るなどして、委員に対し十分な情報を提供しています。
- 指名・報酬諮問委員会は取締役の報酬における短期業績連動報酬について、期初に①全社業績評価による部分、②部門業績評価による部分及び③SDGs評価による部分について目標を確認し、期間終了後に目標に対する達成率とそれにともなう支給額を確認します。④個人評価による部分についても期間終了後に妥当性の確認を行います。取締役の報酬における中長期業績連動報酬についても、指名・報酬諮問委員会が対象期間の期初に目標を確認し、対象期間終了後に目標に対する達成率とそれを踏まえた報酬について確認を行います。
- 取締役会は、取締役の個人別の報酬等について、指名・報酬諮問委員会からの答申を踏まえて決定しており、取締役にその決定を委任しておりません。個人別の報酬等の決定にあたっては、報酬等の内容の決定方法及び決定された報酬等の内容が取締役会で決議された決定方針と整合していることや、指名・報酬諮問委員会からの答申が尊重されていることを確認しており、当社の役員報酬の決定方針に沿うものであると判断しています。
- 監査役の報酬等の額については、株主総会で承認を得た限度額の範囲内で監査役の協議により決定しています。
(ご参考)
株式保有ガイドライン
当社は、「株式保有ガイドライン」において、取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対して、役員に就任する日から5年間で、基本報酬(年額)の25%と同額程度の価値の当社株式等を保有することを推奨しています。
報酬体系見直しの取り組み
2018年 | 報酬体系を見直し、短期業績連動報酬※及び中長期業績連動報酬※(PSU)を導入 |
2020年 | 構造改革に取り組むなかで、短期業績連動報酬比率を引き上げ、中長期業績連動報酬にTSRを導入 |
2021年 | 短期業績連動報酬にSDGs評価を導入、中長期業績連動報酬にRSUを導入
|
2023年 | 社外取締役比率の引き上げおよび社外取締役に期待される役割・責務の増大等を勘案し、社外取締役に対する報酬額の上限を改定 |
2024年 | 新たな経営体制発足および第4次中期経営計画始動に伴い、中長期業績連動報酬制度に所要の改定 |
- ※ 社外取締役は、その主たる職責が、客観性・独立性を有した立場からの監督であることから、業績連動報酬制度の対象外としています。
2023年度の役員報酬額
区分 | 人数 | 報酬等の種類 | 報酬等の 総額 |
||
---|---|---|---|---|---|
基本報酬 | 短期業績 連動報酬 |
中長期業績 連動報酬 |
|||
取締役 (うち社外取締役) |
13名 (6名) |
270百万円 (66百万円) |
74百万円 (―) |
41百万円 (―) |
386百万円 (66百万円) |
監査役 (うち社外監査役) |
5名 (3名) |
81百万円 (30百万円) |
― (―) |
― (―) |
81百万円 (30百万円) |
合計 (うち社外役員) |
18名 (9名) |
351百万円 (96百万円) |
74百万円 (―) |
41百万円 (―) |
467百万円 (96百万円) |
- 注2:業績連動報酬については、当事業年度において費用計上すべき額を記載しています。
サクセッション・プラン
当社では社長・役員等の後継者計画を運用しています。後継者候補を多様な見地から特定することを目的として、各種人材データを活用するとともに、役員後継者プール人材については、全役員参画のもと多面的な視点で人材を確認する社内プロセスを設定しています。そのうえで、プール人材には経営陣幹部として必要な能力や経験を満たすことができるように、一人ひとりの課題を明確にし、タフアサインメント、異動、研修などを含め多様な機会を通じて育成を行っています。また、指名・報酬諮問委員会(独立社外役員5名を含む)に定期的に後継者計画の進捗状況を報告し、モニタリングを受けることによって、客観性を担保するとともに、取締役会の確認・監督を受ける体制をとっています。
また、組織マネジメントに必要な人材を計画的に育成することを目的として、部長後継者計画や課長後継者計画を運用しています。これを社長・役員等の後継者計画と連動させることで、全社の計画的な人材育成に取り組んでいます。
社長の後継者計画の流れ
計画の作成
全社経営人材育成検討会(社長、各事業部門からのメンバー、人事担当役員)で、
- 役員後継者プール人材の確認と個別の育成課題、組織マネジメント育成計画の情報を共有
- 部門を超えた全社視点で確認、修正
計画の検討
社長が、
- 「全社経営人材育成検討会」での議論も参考とし、社長後継者に求められる要件に照らして社長後継者プール人材を選定
- プール人材の強み・課題を明確化したうえで育成施策(タフアサインメント、異動を含む)を検討
- 検討結果を踏まえて指名・報酬諮問委員会でプール人材案を提示
計画の確認・適正化
指名・報酬諮問委員会が、
- 社長後継者プール人材の内容と育成課題・育成施策の確認、役員後継者プール人材の内容・育成施策の確認、これらを含む社内プロセスや取組が適切かどうかを確認し議論
- 育成を監督(モニタリング)
- 取締役会へ社長・役員の後継者プール人材の人数、育成の取組・進捗状況を報告
- 後継者プール人材を観察
取締役会が、
- 指名・報酬諮問委員会の報告内容を確認し、育成の取組・進捗状況を監督(モニタリング)
役員の選定・選任
取締役をはじめとする経営陣幹部の選任にあたっては、候補者のキャリア、能力評価などをもとに指名・報酬諮問委員会が審議・決議し、その答申を受けて取締役会が最適な役員人事を決定します。また、監査役候補者については上記手続きに加えて監査役会の同意を得ます。独立社外取締役は、当社の独立性判断基準を勘案したうえで、取締役会における率直かつ建設的な発言で当社へ貢献することが期待できる人材を候補者としており、選任後は当社への貢献度を評価する機会を設けています。現在、独立社外取締役5名のうち2名は女性で、4名が企業経営経験を有しています。今後も取締役会全体の知識・経験・能力のバランスを図るとともに、多様性や規模を意識した体制整備に注力していきます。
スキル・マトリックス
当社は、長期経営ビジョン「UACJ VISION 2030」及び「UACJ VISION 2030」へつながる成長・価値創出拡大と体質強化を実現するための取締役会が持つべきスキル(知識、経験、能力)を、指名・報酬諮問委員会および取締役会にて議論し、以下のとおり定めました。
当社取締役会は、取締役会全体として9つのスキルフィールドを備える機関とし、適切な経営の監督を実践していきます。
スキルフィールドの選定理由
スキルフィールド | 選定理由 | |
---|---|---|
① | 企業経営・戦略 | 価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上を目指し、様々なステークホルダーと共に経営環境を取り巻く重要課題への取り組みを推進していく当社グループにおいては、自他社を問わず幅広く企業経営・戦略に関する知識・経験・能力が必須である。 |
② | 財務・会計 | 資本効率を重視した経営の取り組みによる財務基盤の強化は当社グループの重点課題であり、また、適正な財務諸表の作成や監督・監査において、財務・会計に関する知識・経験・能力は必須である。 |
③ | 営業・マーケティング | 成長分野・成長市場の需要補足や、環境価値素材としてのアルミニウムの活躍領域の拡大を目指していくためには、営業・マーケティングに関する知識・経験・能力は必須である。 |
④ | 海外ビジネス | 日本・北米・タイの世界3極供給体制を活かしたアルミニウムの活躍領域の拡大や、国や産業界等のサプライチェーン安定化への貢献を図るためには、海外ビジネスに関する知識・経験・能力は必須である。 |
⑤ | 研究開発・製造 | アルミニウム製品の環境負荷低減への貢献に加え、価値創出と安定した事業運営を支える基盤の強化において、研究開発・製造に関する知識・経験・能力は必須である。 |
⑥ | 法務・ガバナンス | コンプライアンスやリスクマネジメントの徹底に加え、プライム市場の上場会社として求められるコーポレートガバナンスへの取り組みを推進し、企業価値の継続的向上を図るためには、法務・ガバナンスに関する知識・経験・能力は必須である。 |
⑦ | IT・デジタル | 「UACJ VISION 2030」の実現に貢献する新領域ビジネスの創出・拡大と、安定した事業運営を支える基盤を強化するためには、IT・デジタルに関する知識・経験・能力は必須である。 |
⑧ | サステナビリティ | 軽やかな世界の実現へ貢献するため、「アルミニウムの循環型社会」構築を牽引し、また、事業を支える多様な人材の活用と育成・ダイバーシティの推進を図るには、サステナビリティに関する知識・経験・能力は必須である。 |
⑨ | 他業種・他分野 | 「UACJ VISION 2030」の実現に向け、外部の視点から経営を監督するとともに、取締役会に多様性をもたらす要素の一つとして、他業種・他分野における知識・経験・能力は必須である。 |
取締役会の構成及び専門性
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※各取締役・監査役の「知識」「経験」「能力」に基づき、「特に期待するフィールド」に〇を配しておりますが、各役員の有する全ての「知識」「経験」「能力」を表すものではありません。
内部統制
UACJグループは、経営目的に従い事業活動の適法性と合理性を確保するため、内部統制システムの強化を図っています。また、金融商品取引法に定められた内部統制の状況については監査部が検証・評価し、財務報告の信頼性の確保に努めています。
内部統制システムの整備状況
UACJグループの内部統制システム(取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、そのほか株式会社の業務ならびに当該株式会社およびその子会社からなる企業集団の業務の適正を確保するための体制)は、会社法および会社法施行規則に基づき以下の通り整備されています。
a 当社および当社グループの取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
- 当社および当社グループは、UACJグループ理念の実現に向け、行動指針「UACJウェイ」およびUACJグループ⾏動規範に基づき行動し、法令および定款を遵守する。
- コンプライアンス委員会を中心として、講習会の実施、マニュアルの配布などの教育を実施し、また法令違反の点検などのコンプライアンス活動を推進する。
- 内部通報制度を活用し、コンプライアンス違反の早期発見と是正を図る。
- 監査部は、内部監査部門として各事業部門の職務執行状況をモニタリングし、内部統制システムが有効に機能しているかどうかについて監査し、取締役会へ報告する。
b 取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
- 取締役会議事録、稟議書等、その職務に関する情報を規程に基づき作成、保存する。
- 取締役および監査役が必要とするときはいつでも閲覧できるものとする。
c 当社および当社グループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制
- 当社および当社グループは、環境、安全・衛生、品質、情報セキュリティおよび輸出管理等全社共通のリスクについては規程に基づき適切に対応する。また、各事業部門固有のリスクは各事業部門が管理し、経営会議にて横断的にリスク管理を推進する。
d 当社および当社グループの取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
- 当社および当社グループは、規程に基づき各業務分掌を定める等により、効率的な職務の執行を行う。
- 中期経営計画、単年度予算を作成し、事業部門ごとに具体的な目標値を設定し管理する。
e 当該株式会社ならびにその親会社および子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
- 当社グループは、内部統制システムを構築し整備する。
- 監査部において、業務監査を実施する。その監査結果は監査役ならびに代表取締役に報告し、当社グループ全体のコンプライアンスの徹底を図る。また、関係会社における経営上の重要な事項については、社内規程に基づき当社との協議を義務付ける他、必要に応じ関係会社の管理に係る規程を見直し、企業集団における業務の適正を確保する。
f 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
- 監査役の職務を補助すべき使用人を設け、監査役の指揮命令のもとに監査役の職務を補助する。
g 前号の使用人の取締役からの独立性および当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
- 前号の使用人は、取締役の指揮、監督を受けない使用人とし、その人事については監査役会の事前の同意を必要とする。
h 当社および当社グループの取締役および使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
- 当社および当社グループの取締役、執行役員および使用人は、職務執行に関して重大な法令・定款違反もしくは不正行為の事実または当社および当社グループに著しい損害を及ぼすおそれのある事実について、遅滞無く当社の監査役に報告する。
- 取締役、執行役員および使用人は、取締役会規則その他の規程に基づき、監査役の出席する取締役会その他の会議において、報告もしくは決議する。
- 当社の監査役へ報告を行った当社および当社グループの取締役、執行役員および使用人に対し、当該報告を行ったことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止する。
i その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
- 取締役会は監査役の取締役会および経営会議等重要な会議への出席を確保する。
- 監査役と代表取締役は、定期的に意見交換会を開催する。
- その他監査役からの監査役監査の実効性確保等についての要請があった場合は、取締役、執行役員および担当部門責任者は誠実に対応する。
- 会社法第388条に基づく費用は、規程に基づき処理する。
政策保有株式について
当社は、取引の維持強化、事業提携、原料の安定調達等、事業の持続的な成長と円滑な推進を図るために必要と判断した企業の株式を保有しています。
その保有は必要最小限とし、縮減を図っていく基本方針のもと、個別の政策保有株式について、政策保有の意義、経済合理性等、定量的・定性的両側面から、毎年取締役会において検討を行い、総合的に検証します。検証の結果、保有の意義が希薄である、あるいは合理性が認められなくなったと判断される銘柄については順次売却を図ります。
また、政策保有株式の議決権の行使については、株主の権利である議決権を、原則としてすべての議案に対して行使することとしています。議案が当社の保有目的に適合しているか、発行会社の健全な経営に資するか、ひいては当社および発行会社の企業価値向上に資するかといった観点から総合的に勘案し、議案ごとに適切に賛否を判断します。なお、2023年度末の貸借対照表計上額は5,732百万円であり、連結資本合計に対する割合は、1.90%です。
買収防衛策
当社では、現在、買収防衛策を導入しておりません。