UACJグループのマテリアリティ

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マテリアリティの特定プロセスと6つのマテリアリティ

UACJグループは、サステナビリティ活動を企業経営の存在意義を問われる中核要素として捉え、グループ一体となって推進していく必要があると考えています。そのために、UACJグループが社会とともに持続的に成長していくうえで優先的に取り組むべき「重要課題(マテリアリティ)」を特定しました。
特定にあたっては、取締役・執行役員などのマネジメント層だけでなく、製造や営業の現場に携わる一般社員を含めた国内外グループ会社の社員も対象としたワークショップの開催など、約2年間で5つのステップを実行しました。
2019年から開始したワークショップは延べ4回、86人が参加しました。さらに外部識者への意見聴取や、役員による最終検討・承認を経て、6つのマテリアリティとそれに関連するSDGsを特定すると同時に、マテリアリティごとに「2030年のありたい姿」と「アクションプラン/KPI」を設定しました。
今後は、このアクションプラン/KPIにもとづき、PDCAサイクルを活用した継続的な活動を推進することで、「2030年のありたい姿」の実現を目指していきます。

マテリアリティ特定ステップ

STEP 1 マテリアリティ候補の検討

GRIスタンダードやISO26000などの国際的なフレームワークやガイドライン、ESGインデックスの開示要請項目調査、ベンチマーク調査、社内各部門ヒアリング・アンケート、並びに専門家知見を踏まえ、UACJグループにとって関わりが大きい、47の社会課題をリストアップし、マテリアリティ候補としました。

STEP 2 マテリアリティ候補の絞り込み

マテリアリティ候補とした47項目について、「UACJグループにとっての重要度」、「ステークホルダーにとっての重要度」の2つの視点で、3段階評価し優先順位付け(スコアリング)を行いました。

STEP 3 仮マテリアリティと関連するSDGsの優先課題の特定

STEP 2のスコアリング結果を反映したマテリアリティ・マトリクスについての妥当性の議論を経て仮マテリアリティを特定するとともに、各マテリアリティに関連するSDGs優先課題を明確化しました。

ワークショップ風景1
ワークショップ風景2
ワークショップ風景3

STEP 4 妥当性確認

CSRアジア日本代表の赤羽 真紀子氏を招聘し、特定した仮マテリアリティと関連するSDGsについてのご意見をいただくとともに、社長の石原との意見交換を行いました。

STEP 5 経営陣の承認

CSR推進組織である「CSR委員会」への報告、「経営会議」での議論、社外取締役を含む全役員による「取締役会」での承認を経て、UACJグループの6つのマテリアリティ、および関連する4つのSDGs優先課題を決定しました。

UACJグループの6つのマテリアリティ

UACJグループは、特定した6つのマテリアリティについて、UACJグループだからこそ貢献できること、社会へ提供できる価値についても定めています。

UACJグループの
マテリアリティ
UACJグループだからこそ貢献できること・社会への提供価値
気候変動ヘの対応 UACJグループは、地球環境が地上に存在する全ての生命にとってかけがえのないものであると認識しています。
その考えに立ち、私たちは、地球温暖化すなわち気候変動対策に積極的に取り組むことが重要な責務であるとの認識を持ち、とりわけ、温室効果ガス(CO2)排出削減を含めたカーボンニュートラルの実現と、そのプロセスで大きな効果があるリサイクルの推進を重要課題と位置づけています。
アルミ製品の原材料である地金は、ライフサイクルにおけるCO2の大半をその製錬過程において排出しています。一方、金属素材としてのアルミニウムは、軽量で熱伝導性が高いといったさまざまな特性や、製品製造過程での再溶解におけるエネルギー消費が小さく、その価値から社会におけるリサイクル網が整備されやすく、永遠に循環する素材という優位性を有しています。
私たちは、事業活動を通じて排出するCO2の削減だけでなく、素材の力を引き出す技術で、アルミニウムの特性を活かした製品とサービスの提供を通じて社会全体でのCO2削減に貢献するほか、リサイクル材料を原材料として最大限活用することで、原材料調達から、製造、使用、廃棄までの製品ライフサイクルにわたって排出するCO2の削減を目指し、地球環境に負荷の少ない軽やかな世界を実現します。

気候変動への対応

製品の品質と責任 UACJグループは、お客様の満足と信頼を得る製品およびサービスの提供に努め、広く社会に貢献します。
そのために、顧客の潜在的な課題解決に貢献していくことや、製品やサービスを使用する際に社会に及ぼす影響を視野に入れた技術開発、品質向上、現場力向上を常に追求し、継続的な改善に取り組みます。
労働安全衛生 UACJグループは、従業員の安全衛生が、企業存立の基盤をなすものであり、安全衛生の確保は企業の社会的責任であることを認識し、全ての事業活動において従業員の安全と健康を最優先します。
労働災害ゼロを目指し、職場のあらゆる危険有害要因を排除するために組織を整え必要な経営資源を配分し、従業員全員参加のもと、継続的な安全衛生活動の取り組みに努めます。
また、安全衛生が従業員とその家族の幸福な生活のために、また事業所の生産性および活気のある職場づくりのために重要な課題であることを認識し、従業員の疲労やストレスを軽減する快適な職場環境の形成を推進します。
人権への配慮 UACJグループは、「相互の理解と尊重」という重視する価値観を実践していくために、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、国別行動計画である「ビジネスと人権に関する行動計画」に沿った活動を推進するとともに、「普遍・平等」「不可譲」「不可侵」の考えに則ったグローバルな事業活動を行います。

人権への配慮

多様性と機会均等 UACJグループは、従業員が多様であること(人種、性、国籍、宗教、年齢、障がいの有無など)は、さらなる改善やイノベーションを生み出すグループの競争力の源泉であると考えます。従業員一人ひとりが、お互いの考え方や価値観の違いを認め合う組織文化を醸成するとともに、女性活躍の推進、多様な人材の雇用、多様な働き方の促進など、人材の多様性と機会均等を持続的な成長に活用していきます。
人材育成 UACJグループは、グループ理念の「価値観」に掲げる「相互の理解と尊重」「誠実さと未来志向」「好奇心と挑戦心」に基づき行動する人材を大切にします。
変化する事業環境に対応しながら、主体的な意思決定や問題解決を主導できる⼈材の育成が、将来のグループの発展に不可欠なものと位置づけ、従業員一人ひとりが成長を実感し、働きがいを感じることを目指して人材育成に取り組んでいきます。
また、UACJグループ内に限定せず、社会の次世代への育成へも取り組んでいきます。

6つのマテリアリティ・SDGs優先課題とステークホルダーとの関連

すべてのサステナビリティ活動は「企業理念」の実践に向けた活動であること、その活動の主体となる従業員が、UACJグループを取り巻く社会のさまざまなステークホルダーと協働して、軽やかな社会を目指していく、という考え方を表しています。

マテリアリティ概念図

* UACJグループが考えるイノベーション:新しい技術や製品の創出にとどまらず、既存の枠組みにとらわれないアイデアや技術を積極的に取り入れることで組織や社会に変化を起こし、新たな価値をもたらすことを指します。

「2030年のありたい姿」と「達成目標」

UACJグループは、2021年度より、マテリアリティごとに定めた「2030年のありたい姿」の実現を目指し、PDCAサイクルを活用した継続的な活動を推進していきます。

マテリアリティごとの「2030年のありたい姿と達成目標」

マテリアリティ 評価指標 短中期目標と実績 2030年度目標 報告対象範囲
2022年度目標 2022年度実績 2023年度目標
気候変動ヘの対応 サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減量 2050年を見据えた目標設定、具体的施策の立案及び推進 Scope1・2における2050年カーボンニュートラル(CN)への挑戦を宣言
 
【参考】Scope1・2の2022年度原単位削減率実績 10.7%削減
17.3%削減
 
(Scope1・2の2019年度比・原単位)
  • Scope1・2:30%削減(2019年度比)
  • Scope3:サプライチェーンのさまざまなパートナーとの協業 によるリサイクル最大化 、 かつサプライチェーン全体でのCO2排出最小化
①UACJグループ全体
製品の品質と責任 重大品質不具合件数 20%減
(前年比)
25%増
(前年比)
ゼロ
(注1)
ゼロ ①UACJグループ全体
客先クレーム件数(素材有責) 10%減
(前年比)
31.4%減
(前年比)
10%減
(前年比)
2020年度比半減 ①UACJグループ全体
労働安全衛生 重篤災害発生件数 ゼロ ゼロ ゼロ ゼロ ①UACJグループ全体
総合度数率(注2) 0.28 0.25 0.25 0.08 ①UACJグループ全体
人権への配慮 人権デューデリジェンス(人権DD)の実施と、
結果を踏まえた目標づくり、アクションプラン実行
人権DD仕組みの構築 人権DD仕組みの構築完了、UEXN安城(注3)にて人権DD実施 4事業所以上で実施(福井・UATH(注4)・UEXN安城に加えて、他1事業所以上) UACJグループの国内事業所および海外の主要な事業所における実施とチェック機能および是正対応の仕組みの定着 ①UACJグループ全体
行動規範、人権、ハラスメント関連の研修実施率 行動規範教育実施率90%
 
ハラスメント教育実施率100%
行動規範教育実施率92%
 
ハラスメント教育実施率100%
行動規範教育実施率96%
 
ハラスメント教育実施率100%
100% ①UACJグループ全体
多様性と機会均等 管理職(役員含む)に占める女性比率(注5) 2% 3.03% 4% 15%以上
※最低15%を目標とし、政府が定める30%を可能な限り目指す。
②UACJ本体と国内グループ
人材育成 後継候補者計画の実施率 UACJ本体
課長職以上100%
UACJ本体
課長職以上100%
国内グループ会社に展開 100% ①UACJグループ全体
重点分野に関する教育支援活動の受益者数 650人/年 882人/年 800人/年 1,000人/年 ①UACJグループ全体
  • (注) 1 . 2022年度実績を踏まえ、より実効性の高い取り組みとすべく、2023年度より、評価指標を「重大品質事故件数」に見直しました。
  • 2. 統計期間中の延べ労働時間あたりの労働災害による死傷者数(不休業を含む)を100万時間で換算した労働災害の発生状況(頻度)を評価する指標
  • 3. UACJ押出加工名古屋安城製作所
  • 4. UACJ (Thailand) Co., Ltd.
  • 5. UACJ本体及び国内グループ会社における比率

マテリアリティごとの「2030年のありたい姿と達成目標」一覧表 PDFファイルを開きます830KB)