UACJグループのマテリアリティ
UACJグループは、社会とともに持続的に成長していくうえで、私たちが優先的に取り組むべき課題を「マテリアリティ」として特定し、2021年度よりグループ一体となって中長期的に取り組んでいます。
マテリアリティは、内部環境、外部環境の変化を適時ウォッチし、見直しの必要が出てきた適切なタイミングで再整理することで、時代の変化に応じた、「環境・社会・経済」の持続可能性と、私たちUACJの持続的な成長の両立を、目指していきます。
環境に関する3つのマテリアリティ
「美しく豊かな地球がずっと続く未来」のために取り組んでいく重要課題
「アルミニウムの循環型社会」の牽引(サーキュラーエコノミー)
UACJグループだからこそ貢献できること
- アルミニウム循環によるサーキュラーエコノミーの推進は、気候変動や自然の保全の課題を解決するために必須です。UACJグループ全体でアルミニウムの可能性をさらに追及することは、社会や地球環境に大きく貢献できると考えます。
- 金属素材としてのアルミニウムは、軽量で熱伝導性が高いといった特性や、製品製造過程での再溶解におけるエネルギー消費が小さいため、社会におけるリサイクル網が整備されやすく永遠に循環する素材という優位性を持っています。私たちは使用済み製品から回収した原料はもちろんのこと、顧客の加工工程で発生したスクラップ(廃材)や自社での素材製造工程におけるスクラップのすべてを最大限に活用し、新地金※の使用量を最小化するとともに、アルミニウムの循環型社会を牽引することで、原材料調達から、製造、使用、廃棄までの製品ライフサイクルにわたって排出するCO2の削減を目指し、地球環境に負荷の少ない軽やかな世界を実現します。
※ 採掘されたボーキサイトを電気の力で精錬したアルミニウムの原料
ありたい姿
アルミニウムの循環型社会において、資源循環の「動脈」と「静脈」をつなぐ「心臓」の役割を果たします。
2030年度達成目標
※ UACJリサイクル率=循環アルミ量/溶解炉への装入量(純アルミ材を除く)
アルミニウムが循環する社会の構築
アルミニウムが循環する社会の構築のために、アルミ缶のリサイクルや、自動車のスクラップの再利用、UACJ社内でのアルミニウム再利用を行っています。
気候変動への対応
UACJグループだからこそ貢献できること
- 急激な気候変動への対応は、社会全体で取り組むべき喫緊の課題です。UACJグループは、地上に存在するすべての生命にとって、地球環境はかけがえのないものであり、気候変動対策に積極的に取り組むことが重要な責務であると認識しています。
- とりわけ、温室効果ガス(CO2)排出削減を含めた「カーボンニュートラルの実現」を重要課題の一つと位置付け、事業活動を通じて排出するCO2の削減だけでなく、素材の力を引き出す技術で、アルミニウムの利活用の機会拡大に取り組むことが、社会全体のCO2排出量の削減につながり、持続可能な社会形成に大きく貢献できると考えます。
ありたい姿
2050年の「カーボンニュートラル実現」に向けて活動基盤の構築を目指します。またパートナーとの様々な協業により、2050年のサプライチェーン全体でのGHG排出の最小化を目指します。
2030年度達成目標
- CO2排出量は原単位(1年間で弊社から出荷された製品1トン当たりに要したCO2排出量)で算定
- ※1 第6次エネルギー基本計画に基づき算出
- ※2 Category1
自然の保全と再生・創出(ネイチャーポジティブ)
UACJグループだからこそ貢献できること
- 地球上のあらゆる環境は、植物、土、水や大気といった自然によって形作られています。また、私たちの日々の暮らしは自然と切り離して語ることはできません。森や海からの恵み、安全な飲み水、日々の食事、新鮮な空気など、多くの恩恵を「資源」として受け取り、成り立っています。
- UACJグループは、製造時に使用した水を再生して再利用する技術を用いて、環境への負荷を低減する環境管理活動を、私たちの「当たり前」としてとらえ、取り組んできました。これらの活動に加え、水セキュリティへのさらなる取り組みや生物多様性の保全、また、アルミニウムのリサイクルを推進することで新地金の使用を削減し、原料となるボーキサイトの新たな採掘を抑制するなど、自然への負荷を最小限に押さえる取り組みを進めています。こうしたサプライチェーン全体での取り組みを推進することで、未来の子どもたちに軽やかで豊かな社会を渡していくことができると考えます。
ありたい姿
サプライチェーン全体での自然への負荷を最小化し、アルミニウムの特性を活かしてネイチャーポジティブ経済(自然の保全と再生・創出と経済の両立)への貢献を目指します。
2030年度達成目標
※ 取水量は原単位(1年間で弊社から出荷された製品1トン当たりに要した水の取水量)で算定取水は下水再生水含む、工業用水、水道水、井戸水、地表水を対象
生物多様性への取り組み
生物多様性の保全を重要な地球環境問題の一つと認識し、当社グループの事業が生物多様性に対して与える影響の把握に努めるとともに、事業に関連したさまざまな自然保護活動を通じて生物多様性の保全に貢献しています。
Well-beingに関する2つのマテリアリティ
「誰もが幸せで幸せを感じられる 健やかで調和のとれた社会」 のために取り組んでいく重要課題
人権の尊重
UACJグループだからこそ貢献できること
- 人権に関する施策の推進は、UACJグループの内外を問わず社会全体の“Well(幸福な状態)”を向上し、未来の“Well”につながるものと考えます。
- UACJグループは、「相互の理解と尊重」という価値観を実践していくために、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、国別行動計画である「ビジネスと人権に関する行動計画」に沿った活動を推進するとともに、「普遍・平等」「不可譲」「不可侵」の考えに則ったグローバルな事業活動の実践を通じて、誰もが幸せを感じられる社会へと貢献できると考えます。
※ “Well”は、肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた幸福な状態を指します。
ありたい姿
国連や国別行動計画で求められる取り組みのUACJグループ全体への浸透と定着を目指します。
2030年度達成目標
- ※1 人権デュー・ディリジェンス実施率=人権デュー・ディリジェンスを実施したグループ会社の従業員の総数/当社グループ従業員数
- ※2 人権の尊重の浸透度=コンプライアンス・人権に係るエンゲージメント調査設問項目の平均点数
人権の尊重を周知徹底
2022年3月に「UACJグループ人権基本方針」を定め、児童労働・強制労働の禁止をはじめとする事業活動における人権尊重の取り組みについての約束を示し、推進しています。
多様性と機会均等の浸透(DE&I)
UACJグループだからこそ貢献できること
- さまざまなバックグラウンドを持つお互いを尊重し合うことが、当社グループのみならず社会全体の“Well”であり、“良い状態”につながるものと考えます。
- UACJグループの役員及び従業員全員が、属性・働き方・キャリアにおいて、多様な人材で構成され、自ら主体的に働き、UACJグループの大切にする「価値観」を実践することは、UACJのビジネスを支えるとともに、変化への高い適応力と柔軟性を生み出すことができます。UACJで働くことに誇りとやりがいを感じ、最適な環境、優れた上司・仲間とともに、わくわくする仕事に取り組むことで、お客様の期待を上回る効果の創出へも貢献できると考えます。
ありたい姿
UACJウェイの「相互の理解と尊重」に基づき、従業員が誇りと安心を感じて自分らしく豊かに生きることを実現するとともに、自らの力を可能な限り発揮することで、イノベーションの創出など会社の持続可能な成長にもつながるような相乗効果を目指します。
2030年度達成目標
- ※1 多様性と機会均等の浸透度=DE&Iに係るエンゲージメント調査設問項目の平均点数
- ※2 役員を除く
UACJグループの達成目標への歩み
マテリアリティの達成状況
5つのマテリアリティを実現するために、実行施策と短中長期での評価指標と目標値を設定しています。100年後の軽やかな世界を実現するために、UACJグループのみならずサプライチェーン全体での取り組みを推進し、進捗を確認しながら、着実に目標達成に歩みを進めています。
UACJグループ 5つのマテリアリティの達成目標と進捗状況(632KB)
2021年度から2023年度における6つのマテリアリティとその成果(273KB)
マテリアリティの特定ステップ
マテリアリティを特定する活動は2019年度にスタートし、マテリアリティ候補の検討から、「UACJグループにとっての重要度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の2つの視点での優先順位付け、有識者との意見交換などを踏まえ、適切なガバナンスによる手続きを経て特定に至りました。
その後、新型コロナウィルス感染症の拡大をはじめとする国内・海外情勢の変化により、社会システムの大幅な転換を迎えたため、マテリアリティの見直しが必要と判断し、2023年度に下記ステップを経て見直しを行いました。2024年度より施策推進を実施していきます。
UACJグループにおけるマテリアリティの定義
UACJグループでは、環境・社会・経済の持続可能性に関わる重要課題のうち、中長期的な事業に大きな影響を与える以下の3つの要件を満たすものを、マテリアリティと定義しました。
- ① UACJグループを取り巻くステークホルダーにとって重大な影響を与える課題
- ② UACJグループが、持続可能な価値創造・企業価値向上のために経営資源を優先的に投入すべき重要課題であると認識している課題
- ③ UACJグループが中長期的に提供したい社会的、経済的な価値創造に結び付く課題
基本的な活動としてすでに浸透している事項については、UACJとしての当たり前(UACJらしく永続的に事業を継続するための土台となる領域)として、マテリアリティの対象とはしません。
※ 2023年度のマテリアリティの見直しにおいて、「労働安全衛生」、「製品の品質と責任」については、100年後も変わらないUACJグループの事業の基盤であることから、「UACJとしての当たり前」としてとらえ、その取り組みについては、安全衛生委員会、品質委員会で引き続き進捗を管理していきます。