化学物質管理・汚染防止
基本的な考え方
UACJグループは、自然環境への影響はもとより、製品の製造時の従業員の安全、製品の使用時のお客様の安全に配慮し、化学物質の適正管理と排出抑制に努めるとともに、環境や健康への影響が少ないものへの切り替えを進めています。また、排出抑制にあたっては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、各自治体の条例、協定などで定められた基準値よりも厳しい自主管理値を設定し、その遵守に努めています。
2022年度の実績
UACJの各製造所における管理状況(2022年度)
測定項目 | 名古屋 製造所 |
福井 製造所 |
深谷 製造所 |
|
---|---|---|---|---|
大気データ | NOx、SOx、ばいじん | 〇 | 〇 | 〇 |
水質データ | pH、BOD | 〇 | 〇 | 〇 |
n-H(鉱物油)、SS | 〇 | 〇 | 〇 |
PRTR対象物質管理
UACJグループでは、化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度※に従い対象物質の取扱量・排出量・移動量を把握し届出を行うとともに、その削減に努めています。
2022年度は、2021年度に比べて生産量が減少したことに伴い、取扱量は 216t(6.1%)減少しましたが、グループ全体の排出量、移動量が全対象物質合計でそれぞれ 23t(12.4%)、3t(2.2%)増加しました。排出量、移動量がわずかに増加した理由は、品種構成が変化したためと考えられます。
- ※PRTR制度:人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、事業所から環境(大気、水、土壌)へ排出される量および廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に届け出をし、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する制度
PRTR対象物質取扱量の推移
(製品中の合金元素であるマンガン、クロム、ニッケル、鉛を含む)
PRTR対象物質排出量・移動量の推移
- ※集計範囲:UACJ(名古屋、福井、深谷)、UACJアルミセンター(宇都宮カラーアルミ)、UACJ押出加工名古屋(名古屋、安城)、UACJ押出加工小山、UACJ押出加工群馬、UACJ押出加工滋賀、UACJ製箔(伊勢崎、滋賀、野木)、UACJ鋳鍛
PRTR対象物質 取扱量・排出量・移動量(2022年度)
No. | 物質名 | 使用量(kg) | 排出量(kg) | 移動量(kg) |
---|---|---|---|---|
412 | マンガン及びその化合物 | 1,803,193 | 0 | 18,400 |
300 | トルエン | 619,810 | 31,043 | 54,021 |
87 | クロム及び三価クロム化合物 | 192,995 | 17 | 23,778 |
80 | キシレン | 182,301 | 17,774 | 1,722 |
273 | 1-ドデカノール | 140,646 | 70,842 | 31,765 |
296 | 1,2,4‐トリエチルベンゼン | 117,745 | 56,715 | 1,225 |
53 | エチルベンゼン | 73,893 | 2,396 | 669 |
71 | 塩化第二鉄 | 47,380 | 0 | 0 |
374 | フッ化水素及びその水溶性塩 | 45,627 | 1,241 | 11,169 |
297 | 1,2,5‐トリエチルベンゼン | 25,955 | 19,222 | 272 |
88 | 六価クロム化合物 | 23,783 | 0 | 84 |
308 | ニッケル | 21,074 | 0 | 0 |
302 | ナフタレン | 7,103 | 161 | 59 |
207 | 2,6-ジータ-シャリー-ブチル-4-クレゾール | 4,238 | 1,637 | 2,589 |
407 | ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル | 3,774 | 3,701 | 0 |
321 | バナジウム化合物 | 2,806 | 0 | 0 |
392 | n-ヘキサン | 2,494 | 423 | 486 |
1 | 亜鉛の水溶性化合物 | 2,395 | 0 | 0 |
304 | 鉛 | 1,481 | 0 | 0 |
411 | ホルムアルデヒド | 1,402 | 29 | 4 |
合計 | 3,320,094 | 205,202 | 146,245 |
- ※集計範囲:UACJ(名古屋、福井、深谷)、UACJアルミセンター(宇都宮カラーアルミ)、UACJ押出加工名古屋(名古屋、安城)、UACJ押出加工小山、UACJ押出加工群馬、UACJ押出加工滋賀、UACJ鋳鍛、UACJ製箔(滋賀、野木、伊勢崎)
VOC排出量の削減
UACJグループでは、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1.3.5.トリメチルベンゼンなどを削減対象物質として設定し、VOC(揮発性有機化合物)の大気への排出量の削減を進めています。
2022年度は、前年度に稼働開始したUACJ製箔伊勢崎製造所のVOC排ガス処理装置により、大気への排出量は低位を維持しています。さらに、シンナーの代替品への変更を推進しています。
大気汚染防止
UACJグループでは、工場設備の維持管理と重油からLNGへの燃料転換により、大気汚染物質の排出量削減に努めています。現在、これまでの取り組みの成果によってSOx、NOx排出量は低位を維持しています。
NOx排出量推移
SOx排出量推移
- ※集計範囲:UACJ(名古屋、福井、深谷、日光)、UACJ押出加工小山
- ※日光製造所は、2021年3月末をもって閉鎖しました
PCB管理
UACJグループは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に則り、PCBを含有している機器類の数量を製造拠点ごとに把握し、監督官庁に届け出るとともに適切に保管・管理しています。また、蛍光灯安定器などの小型電気機器や微量PCBの含有が懸念される電気機器についても調査を実施し、基準値以上のものは適切に管理しています。
PCB含有機器類の無害化処理は、日本環境安全事業株式会社に委託し適切に行っています。微量PCB汚染油の無害化処理についても、必要に応じて認定処理事業者に処理を委託しています。また、2016年8月に施行された改正PCB特別措置法の設定期限よりも早期に完了するように、高濃度PCBの処理を進めています。2022年度は高濃度PCB廃棄物としてコンデンサ75台、安定器58台、低濃度PCB廃棄物としてトランス43台、コンデンサ168台、安定器2台、その他汚染物等1,050㎏の処理を行いました。
アスベスト問題への対応
UACJグループは、製品や工場建屋、設備・備品へのアスベストの使用実績や使用状況を調査し、対策を実施しています。製品については、アスベストの使用やアスベストを含む製品の販売実績はありません。
工場建屋については、ごく一部で飛散する危険性が高い吹き付けアスベストの使用実績があり、2004年度から除去作業を行ってきました。なお、UACJ製箔 野木製造所における吹き付けアスベストの未除去部分については飛散のないことを確認しています。2020年6月の大気汚染防止法改正等により、スレート等の飛散の危険性の少ないアスベストに対する規制が強化されましたが、法令を順守し適切な対応を実施していきます。2022年度は、UACJ製箔野木製造所の一部で除去工事を実施しました。
設備・備品については、アスベスト飛散の危険性のあるものはすでに交換を完了しています。また、アスベスト飛散の危険性の少ない設備・備品についても定期点検などのタイミングでアスベスト非含有品に交換しています。
ダイオキシン類対策
UACJグループは、ダイオキシン類対策特別措置法のダイオキシン類排出特定施設に該当するアルミニウム溶解炉について、排ガス中のダイオキシン類濃度が規制値以下となるよう管理に努めています。
具体的には、アルミニウム溶解炉の燃焼空気量を最適に保ち、かつ投入する材料の管理を徹底してダイオキシンの発生を防止しています。
また、アルミニウム溶解炉のダイオキシン類の測定を法律に基づき年1回実施するとともに、結果を行政に報告しています。2022年度のダイオキシン類測定結果は、大気特定施設24施設と水質特定施設2施設においてすべて法定規制値を下回っていました。
水質汚染防止
2012年6月に公布された水質汚濁防止法の一部改正により有害物質の貯蔵施設と配管などについて届出を行うとともに、構造などについて設定された基準を遵守することが義務付けられました。
UACJグループでは、猶予期限である2015年5月31日までにすべての事業拠点で必要な対応を完了しています。
土壌・地下水汚染防止
特定有害物質の使用履歴があるUACJ押出加工小山とUACJアルミセンター(宇都宮カラーアルミ工場)では、過去に発生した土壌・地下水汚染への対策として汚染地下水の浄化を継続的に行い、その効果を定期的に確認しています。汚染濃度は減少しつつあります。
その他の事業拠点においては、汚染事故発生時はもちろん、建物の建て替えや大規模改修時など、必要に応じて地下水や土壌の汚染調査を実施しています。2022年度は、調査を必要とする事業拠点はありませんでした。
土壌・地下水汚染に関する対策
事業拠点名 | 時期 | 汚染物質 | 浄化対策 |
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UACJ押出加工小山 | 1999年度から | テトラクロロエチレン | 土壌入れ替え、揚水浄化 |
UACJアルミセンター(宇都宮カラーアルミ工場) | 2004年度から | 六価クロム、フッ素 | 土壌入れ替え、揚水浄化 |
製品含有化学物質の管理に関する情報は、「製品における環境配慮」をご参照ください。