リリース・お知らせ 2025年

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ロケット向け高強度アルミ合金の共同研究でJAXA採択
—国内初、アルミニウム・スカンジウム合金の実用化へ前進—

2025年3月3日

株式会社UACJ(本社:東京都千代田区、代表取締役:田中信二)はこのほど、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(本社:東京都調布市、理事長:山川宏、以下「JAXA」)様が推し進める革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラム※1の研究提案募集において「WAAM※2向けSc(スカンジウム)入り高強度アルミニウム合金ワイヤーの研究開発」が課題解決型共同研究に採択されましたのでお知らせします。本研究は当社と、三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長CEO:泉澤清次)様、富山住友電工株式会社(本社:富山県射水市、代表取締役社長:山本康夫)様の3社共同の取り組みが採択されたもので、今後この3社で連携し、ロケット向けアルミニウム・スカンジウム合金の実用化を目指します。ロケット向けのアルミニウム・スカンジウム合金は国内初の試みであり、これまでのロケット向け高強度アルミ合金の研究が量産化に向け一歩前進したことになります。今後は3月の共同研究開始に向け、実施計画を作成し、契約の締結を進めていきます。

当社は、JAXAの革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラム第2回研究提案募集に採択され、2022年9月から「WAAM向け高強度アルミニウム合金ワイヤーの開発」として、三菱重工業様と共同で、ロケットの燃料タンクに使用される高強度アルミ素材の試作を進めてきました。研究対象のアルミ素材は、WAAM技術を用いた3Dプリンターに使用できる高強度なワイヤーであり、加工工程の削減や自由な形状の作成が期待されるものです。2024年10月までの共同研究では、富山住友電工様の協力により、高強度高品質な積層材を作製することのできるワイヤーの試作を実現しました。

今回の採択では、研究フェーズをよりステップアップさせ、3年間でロケットに使用可能な高強度アルミニウム合金ワイヤーの実用化を目指します。量産化を考慮した製造工程における試作を通じて製造条件の適正化を図り、量産化の目途を立てていきます。年間数トンのワイヤー素材の採用のほか、将来的には溶接ワイヤーとしての用途など、ロケット以外への展開を通して、さらなる生産量拡大が期待できます。

UACJは、今後もアルミニウム素材の研究開発を重ね、宇宙産業の発展に寄与し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献してまいります。

ご参考

JAXA様の革新的将来宇宙輸送プログラムで高強度アルミ合金研究提案が採択-三菱重工様と共同で次世代ロケットの燃料タンク向け素材を開発へ-」(2022年8月10日)

UACJについて

株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーです。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。

UACJは、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持ち、グループの総合力を発揮し、板、自動車部品、押出・加工品、航空宇宙・防衛材、箔の5つの事業を展開。飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業などの幅広い分野にアルミ素材を供給し、人びとの暮らしや産業を支えています。

2024年3月期の連結売上高は8,928億円、グループ従業員は約10,500人です。