トップメッセージ

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100年後の未来に
今よりも軽やかで楽しい未来を残すために
グループ全社員の力を結集し、
持続可能な社会の実現に貢献します。

代表取締役 社長執行役員
石原 美幸

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、不幸にも亡くなられた方に深い哀悼の意をささげますとともに、現在も罹患されている方に心よりお見舞い申し上げます。また最前線で対応されている医療関係者の皆様に感謝を申し上げます。

サステナビリティ活動を経営の中核に

UACJグループは、2020年2月、「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。」という新たな企業理念を制定するとともに「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。」を目指す姿に掲げました。この理念の実践にあたり、どのような方向性のもと、具体的に何に取り組むかを明確にするため、2020年5月「サステナビリティの考え方・基本方針」を策定し、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。2021年4月からスタートした第3次中期経営計画においても、重点方針の1つにサステナビリティ推進を位置づけています。このように当社がサステナビリティを経営の根幹にビルトインし、グループを挙げて強力に推進しているのは、環境問題をはじめ現代社会が直面するさまざまな課題を将来に残さず、子どもたちの世代に今よりも軽やかで楽しい未来を提供したいからです。そんな持続可能な社会づくりに貢献できる企業でなければ、将来にわたって事業を継続できないと考えています。

創業以来、UACJグループはさまざまな形で社会への貢献に努めてきましたが、今後はこの基本方針とマテリアリティのもと、社会に対してより良いインパクトある実効性の高い活動を推進していきます。

事業継続の基盤となる6つのマテリアリティ

UACJグループは、優先的に取り組むべき「6つのマテリアリティ(重要課題)」として、「気候変動への対応」「製品の品質と責任」「労働安全衛生」「人権への配慮」「多様性と機会均等」「人材育成」を特定しました。さらに、それぞれについて「2030年のありたい姿」と「アクションプラン/KPI」を設定し、この行動計画のもと具体的な目標達成に向けて継続的な活動を推進していきます。

これらのマテリアリティはいずれも、グローバルに活動するアルミニウムメーカーであるUACJグループが事業継続の基盤として必ず取り組まなければならない課題ですが、とりわけ今後の社会の持続可能性に多大なインパクトをもたらす課題が「気候変動への対応」です。アルミニウムは鉄や銅に比べて重量が約3分の1であり、車体軽量化によるクルマの環境性能向上などに貢献できます。また、各種の素材の中でも非常にリサイクル性が高く、来るべき循環型社会に適した素材でもあります。こうしたアルミニウムの特性を最大限に引き出し、お客様やサプライヤーと力を合わせて環境負荷の低減を追求していくことが、社会の持続可能性を高め、それが当社の持続可能性にもつながると考えています。

さらに当社では、2021年9月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明すると同時に、国内賛同企業による「TCFDコンソーシアム」に加入しました。気候変動がUACJグループに及ぼすリスクと機会について、当社の事業に即した独自のシナリオに基づいて評価・分析し、気候変動への対応をより一層強化していく方針です。

「アルミニウム100%リサイクル化」への夢に挑戦

持続可能な社会の実現に向けて、UACJグループとして貢献できることの1つに、使用後のアルミニウム製品のリサイクル促進を通じた廃棄物の抑制があります。アルミニウムは原料から新地金を製錬する工程で大量の電力を消費しますが、リサイクルする場合はそのわずか3%程度の電力で同量の再生地金を製造できます。この優れたリサイクル性を活かして、現在は飲料缶を中心にリサイクルが進んでおり、特に国内での飲料缶のリサイクル率は約95%前後に達しています。これを飲料缶以外のさまざまな製品でも実現できれば、アルミニウム製品がライフサイクル全体で発生するCO2排出量を大幅に削減できます。

ただし、そのために克服すべき問題は少なくありません。たとえば1,000種類以上にも及ぶ多種多様な合金の存在があります。アルミニウム製品は、それぞれの用途によって、純度99.0%以上の純アルミニウム以外にも、さまざまな元素を添加した合金が用いられており、各種合金を含むスクラップを再資源化しようとすると、途中のプロセスで不純物が出て歩留まりが低下します。また、製品の種類によっては、お客様がアルミニウム材料を加工する段階で、加工性を高めるため素材に高粘土の潤滑油を使用するケースがあります。そんな高粘土の油が付着したスクラップをリサイクルするのは非常に困難です。

これらの問題を解決するため、当社ではリサイクル技術をより一層磨くのはもちろんのこと、アルミニウム製品の企画設計の段階より、使用後のリサイクルまでを視野に入れた素材選定や加工方法などをお客様と一緒に考え、解決策を見出していきます。ただ、実際にリサイクルを展開するにあたっては、スクラップ回収等のコストを誰がどう負担するかといった事業スキームの構築も欠かせません。当社だけで解決できる問題ではないため、お客様や業界団体、行政など各ステークホルダーと連携し、適切なスキームを見出したうえで、さまざまなアルミニウム製品のリサイクルを促進したいと考えています。

短期的に見れば、リサイクル促進はお客様やアルミニウムメーカーにとってコストアップにつながったり、生産性を追求するうえでの制約になったりすることもあるかもしれません。しかし長期的には、リサイクルを促進し、製品ライフサイクル全体の環境負荷を低減させることは、将来の持続可能な社会の実現に欠かせない取り組みです。そのために必要な資金や労力は企業や社会が負担すべき“コスト”ではなく、未来のための大切な“投資”に他ならないと私たちは考えています。現在、こうした考え方は社会全体に広がりつつあり、最近では多くのお客様からリサイクルに関するご質問やご要望をいただいています。実際、最近では缶だけでなく、自動車のクローズドループリサイクルなど他産業への拡がりも見られます。今後もステークホルダーとの連携を一層強化しながら、将来の「アルミニウム100%リサイクル化」への夢の実現に向けて挑戦を続けます。

社員一人ひとりが主役となって

当社が今後サステナビリティ活動を一層加速させ、「2030年のありたい姿」を実現していくために、何よりも欠かせないのが全社員の主体的な参加です。グループ社員一人ひとりが、サステナビリティ推進の意義を理解し、それぞれの立場で何に取り組むべきかを認識してUACJウェイを実践していくことが大切です。

そこで私は、2020年から各事業所において、新理念体系やサステナビリティ推進への理解促進を図るためのタウンミーティングを実施してきました。皆で対話を重ねるうちに、次第にサステナビリティを「自分事」として受け止めてもらえるようになったと感じています。というのもサステナビリティ推進とは、何か特別な取り組みではなく、噛み砕いて言えば「誰もが気持ち良く生き続けられる社会をつくる」ことであり、その活動の起点は1人ひとりが「仕事を通じて誰かの役に立つ」ことにあるからです。

たとえば、ミーティングにおいて、最初は「仕事が誰の役に立っているか実感できない」と話していた間接部門の社員がいましたが、いろいろな部門の社員と対話した後は「自分の仕事が多くの人に必要とされていることがわかって嬉しかった。どうすればもっと役に立てるか考えたい」と目を輝かせていました。このように“会社が何のために存在し、自分の仕事が誰の役に立っているか”を真剣に考えること、そして“社会や会社のために何をすべきか”を見出すこと——それが社員個々の大きな働きがいとなり、組織、企業の持続可能性を高め、ひいては社会の持続可能性にも寄与すると考えています。

1898年に日本で初めてアルミニウム圧延事業に着手して120年余り。これほどの長期にわたりUACJグループが存続できたのは、当社が事業活動を通じて社会の期待と信頼に応え続けてきたからに他なりません。その歴史と実績、社会的責任を踏まえ、UACJグループは、ステークホルダーの皆さまの思いと期待を原動力にして、「持続可能で豊かな社会」「軽やかな世界」の実現に貢献してまいります。