特集 米国への貢献

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北米リサイクル

世界最大の缶材市場で
サプライチェーンの
持続可能性を向上

世界最大の缶材消費国、米国。環境志向の高まりにともなってその市場は拡大し続けています。
UACJグループの北米拠点であるTri-Arrows Aluminum Inc.が構築しているリサイクルを促進して安定供給を図る持続可能なサプライチェーンについて、CEOのHenry Gordinierが説明します。

Henry GordinierCEO/President, Tri-Arrows Aluminum Inc.

増大する飲料缶需要に応える

米国は、世界最大の缶材消費国です。その使用量は年間932億個と、日本の222億個をはるかに上回っています。また、回収される空き缶も毎分12万7千個といわれ、資源リサイクルの巨大市場でもあります。

TAA※1は、米国でアルミ缶材を供給しており、その市場について長期的な成長を見込んでいます。脱プラスチックの気運や消費者のエコ製品志向の高まりを背景にして、栄養ドリンク、クラフトビール、最近とくに人気が高まっているミネラルウォーターなど、飲料製品の容器にアルミ缶を選ぶメーカーが増えているからです。過去1年間に北米で出荷された全飲料の60%にアルミ缶が使用されており、わずか2年前の35%から倍増しています。

供給面からみると、缶材用アルミニウムの需給はタイトになっています。自動車の環境規制強化にともなって車体のアルミ化が進むなかで、北米ではアルミニウムメーカーの多くが自動車市場に注力しています。その影響で、缶用のアルミ材が不足がちになっているのです。加えて、2018年に関税が引き上げられたことで中国からの缶材輸入量が減少していることも需給逼迫に拍車を掛けています。

こうしたなか、TAAが運営するローガン工場は、世界最大の缶材生産拠点として北米のサプライチェーンを支えています。ローガン工場は、世界のアルミニウム圧延工場で最大級の生産効率を誇ります。生産能力についても、2018年に新たなリサイクル炉の操業を開始したこと、また2019年9月に冷間圧延設備の増強を完了することでさらに拡大します。これらによって、ローガン工場の強みは一層増しています。

※1 Tri-Arrows Aluminum Inc.

缶材需要(米国)の推移と予測

出典:CRU Aluminium Rolled Products Market Outlook November 2018

リサイクルの促進で持続可能性を高める

TAAは、環境特性に優れたアルミ缶材を安定供給すると同時に、サプライチェーンの持続可能性をも高めています。

ローガン工場のリサイクル炉では、空き缶のスクラップ材をリサイクルして新たなアルミ缶材を作っています。スクラップ材を活用することで、原料鉱石であるボーキサイトから作るよりも少ないエネルギーで製造できます。ボーキサイトの省資源につながる点も、さまざまな用途で需要の伸びるアルミ材にとって重要です。ローガン工場では原料の80%にスクラップ材を使用しています。米国のアルミニウム総生産に占める再生アルミの割合は40%。TAAが供給をさらに拡大していくことで、アルミニウムのリサイクル促進にも寄与していけると考えています。

スクラップ材を利用したアルミニウム製造は、環境負荷だけでなく、コストの観点からも有意義です。米中の関税見直しによってアルミニウムスクラップ材を中国へ輸出できなくなったことで、米国内ではスクラップ材の価格が下落しています。その結果、製品の利益率が高まり、TAAの収益にも反映されています。

さらにTAAは、リサイクル炉の余力を活かして缶材用のインゴットを製造し、材料が不足している他の缶材メーカーに販売しています。このように戦略性を持って自らのビジネスを拡大しながら、米国アルミ缶市場全体の需給バランスとグリーン化に貢献していきます。

省エネ・省資源を実現するアルミニウム製造工程

Focus on

環境配慮を追求し続ける
ローガン工場

ローガン工場は、あらゆる面から環境負荷の低減に努めています。専任チームを組織して、操業にともなうCO2排出量、化学物質使用量、そして廃水量を減らすための施策を講じています。常に持続可能性を念頭に置き、工場の位置する緑豊かな湿地との共生を図りながら、社会に恩恵をもたらすグリーンワークを実践しています。

2018年に稼働したリサイクル炉