中期経営計画
UACJは、2018年5月に、2018年度から2020年度までの3年間を対象とした中期経営計画を策定しました。前中期経営計画期間中に行なってきた「先行投資の回収」と「資本効率の向上」をテーマに、4つの重点方針にもとづいた施策を着実に実行し、持続的な成長を目指します。
位置づけ
世界的に拡大が続くアルミニウム市場の動向を踏まえ、グローバル供給体制の構築に向けて国内トップの2社が統合し、誕生したUACJ。前中期経営計画期間において、タイのラヨン製造所の立ち上げなど、その構築を進めてきました。しかしながら、アジア市場の成長や自動車向け需要の拡大など、計画期間中の環境変化は想像を上回るものがありました。とりわけ自動車向け需要は環境規制強化にともなうもので、環境面での貢献もますます期待が高まっています。こうした変化にいち早く対応するため、2018年度からスタートする新たな経営計画期間で想定していた投資を前倒しで実施。新たな中期経営計画では、この先行投資の成果を活かしてグローバルな需要増に応えることで利益拡大を図りながら、社会と環境に貢献していきます。
中期経営計画の位置づけ
統合前
国内トップ企業として、国内を中心に幅広い分野に供給
経営統合
海外への展開を見据え、国内トップ2社が経営統合
前中期経営計画(2015年度~2017年度)
世界的なアルミニウム需要の急増を踏まえ、グローバル供給体制を整備
中期経営計画(2018年度~2020年度)
先行投資を活かして、世界的な需要に応え、グローバル企業として成長
- 1成長市場(アジア・北米)、成長分野(自動車)に注力継続
- 2先行投資の着実な回収
- 3資本効率の向上(ROIC重視)
- 4行動理念の共有と浸透 "UACJウェイ"
将来ビジョン UACJのありたい姿
アルミニウムの可能性を最大限に発揮し、社会と環境に貢献する
急増するアルミニウム需要
アルミニウム業界の市場環境は目まぐるしい変化が起こっており、2021年には3,000万トンを超える市場規模になる見通しで、とりわけ輸送分野ではCAGRが7.3%と大きく市場が拡大する見込みです。
アルミニウム板需要の推移
出典:CRU Aluminium Rolled Products Market Outlook November 2017
缶材需要の見通し(全世界)
自動車用パネル・部材需要の見通し(全世界)
中期経営計画の目標値
2020~2022年度にかけて利益を大幅拡大させることを前提に、通過点となる2020年度の目標値を設定しています。
経常利益単位:億円
ROIC単位:%
ROE単位:%
D/Eレシオ※単位:倍
※劣後ローン資本性考慮後
重点方針
2022年度に先行投資が収益貢献することをターゲットに、4つの重点方針を展開します。
重点方針1
成長市場(アジア・北米)、成長分野(自動車)に注力継続
アジアUATHの生産性を向上させ、2019年度の営業黒字を目指す
UACJ (Thailand) Co., Ltd.(以下、UATH)ラヨン製造所は、アジアの高まる需要に応えるため、2016年度に追加投資を決定。完工後の生産能力は32万トンと、アジア屈指の規模となります。今後は品質・コスト競争力の強化とともに、現地エンジニアの育成などを通じて生産性向上に注力することを継続。2019年度には営業黒字化を達成し、2020年度には経常利益でも連結業績に貢献することを計画しています。
UATH 年間販売量単位:千t
北米生産効率をアップさせ、缶材・自動車材需要を取り込む
北米では、缶材と自動車材の両分野で需要を取り込みます。缶材と自動車用パネル母材の生産を担うTri-Arrows Aluminum Inc.( 以下、TAA)ローガン工場では、世界一の生産効率をさらにレベルアップして、販売数量を2017年度の30万トンから2020年度には40万トン(うち缶35万トン、自動車5万トン)に拡大します。自動車用パネル材を製造するConstellium-UACJ ABS LLC(以下、CUA)では生産性を改善して、早期の黒字化を図ります。
TAA 年間販売量単位:千t
自動車グループ横断で経営資源を集中投入
自動車材は世界的に需要拡大が期待できるとともに、産業の裾野が広い分野です。UACJでは6事業がそれぞれ自動車材を供給するとともに、各事業が連携して部材開発・供給を行っています。今後も研究開発部門も含め、グループを横断して経営資源を集中的に投入するトータル・ソリューション力を活かして、拡大を続ける自動車材市場のニーズに応え、収益力の拡大を図ります。
板事業
ドア、ボンネットやルーフなどの 外皮製品、熱交換器材など
押出事業
サブフレームなどの構造材や熱交換器材など
箔事業
リチウムイオン電池の正極・ 負極材(アルミニウム箔、銅箔)
鋳鍛事業
ホイールやターボチャージャ・ コンプレッサホイールなど
銅管事業
自動車電装用モータ電機子 (コンミテータ)
加工品事業
バンパーやバスバーなど
重点方針2
先行投資を着実に回収
前中期経営計画の期間中は、想定以上の世界的なアルミニウム需要の拡大に応えるため、タイのUATH、北米のTAA、CUA、UACJ Automotive Whitehall Industries, Inc.(以下、UWH)、そして日本の福井製造所を中心に、大規模な先行設備投資を実施しました。2019年度には大型の設備投資は概ね終了することから、新規投資・投融資に関しては厳選して実行していく方針です。なお、これまでの投資については2019~2020年度に回収が本格化し、2021~2022年度の大幅な利益拡大を見込んでいます。
設備投資・投資回収スケジュール
重点方針3
資本効率を改善し、中長期で企業価値を向上
新中期経営計画では、グループ全体でROICを重視した経営を推進し、資本効率の向上に取り組みます。各社・各事業部門への展開にあたっては、ROICを「営業利益率」と「投下資本回転率」に分解。前者はセールスミックスの改善やコストダウンの推進、後者は棚卸資産の回転率などをチェックすることで資本効率の改善を進めます。これらの取り組みにより、2020年度にはフリー・キャッシュ・フローでの黒字化、2022年度にはROIC 8%以上を目指します。
重点方針4
社員一人ひとりが大切にすべき行動理念を共有・浸透
グローバルに供給ネットワークが拡大するなか、グループ全体で共有すべき行動理念を改めて明確にするために「UACJウェイ」を定めました。「安全第一」と「コンプライアンスの遵守」を大前提として、「お客様の期待を超え、感動を与える」「自分の頭で考え現場・現実を見据える」「多様な人材の個性を尊重しながら共感を創る」という3つの姿勢を、世界中の従業員一人ひとりに浸透させていきます。