第37期竜王戦開催記念対談

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異色対談で見えてきた!?
将棋とアルミのこれから

将棋棋士
佐藤 康光 九段 1969年生まれ。京都府出身。1987年に17歳でプロ入り。1993年に初タイトルの竜王を獲得した。主な獲得タイトルは竜王1、名人2、棋王2、王将2、棋聖6。日本将棋連盟前会長。

株式会社UACJ 代表取締役 社長執行役員
田中 信二 1963年生まれ。愛知県出身。岐阜大学大学院工学研究科修了、住友軽金属工業(現UACJ)入社。取締役常務執行役員・サステナビリティ推進本部長・板事業本部副本部長を経て、今年4月に社長就任。

※ 2024年11月27日に読売新聞大阪本社版に掲載された広告を許可を得て転載しました。

現在、藤井聡太竜王と佐々木勇気八段による第37期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)が行われています。これを記念して、佐藤康光九段(日本将棋連盟前会長)と、第33期から5期連続で竜王戦に協賛しているアルミニウム総合メーカー・株式会社UACJの田中信二社長が対談を行いました。一見、共通点の少なさそうな「将棋界」と「アルミ業界」ですが、一体どのような対話がなされたのでしょうか。

竜王戦第2局は福井県あわら市で

田中
いま開催中の竜王戦、大変盛り上がっていますね。
佐藤
藤井聡太竜王に、タイトル初挑戦の佐々木勇気八段が挑んでいます。佐々木八段はこれまでも「いつタイトル戦に出てもおかしくない」と注目されていた才能豊かな棋士で、まさに“満を持しての登場”。両者とも期待どおり、白熱した戦いを見せてくれています。
田中
今回は第2局が福井県での竜王戦初開催となる「あわら対局」(あわら市)となり、その点でも話題になりました。
佐藤
地元の皆さまには本当に熱心に誘致をしていただいて、私も大変ありがたく思っています。今年は北陸新幹線の金沢・敦賀間も開業しましたし、この対局が様々な分野における地域振興につながって、福井県の皆さまの活力になればうれしいです。UACJさんは福井県にはとても大きな拠点をお持ちだそうですね?
田中
福井県にはUACJの主力拠点である福井製造所(坂井市)があります。当社は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーで、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持っています。福井製造所では缶や自動車、航空機などのアルミ材を製造しており、国内のアルミ缶の2本に1本には、UACJ福井製造所のアルミニウムが使われています。
佐藤
それはすごい…、ほぼ全ての国民がお世話になっているのではないですか。
田中
その一方で、UACJの知名度はマーケットシェアに追いついていない状況です。このあわら対局を機に、福井県の魅力とともに、UACJのことを多くの皆さまに知っていただけると幸いです。

両業界ともカギは「デジタルとファンづくり」

田中
デジタル全盛の現代において、将棋という伝統的なゲームが新しいファンを獲得している。これは素晴らしいことですね。
佐藤
将棋は意外にもデジタルと相性がよく、私たちも驚かされています。例えばオンライン対局の普及により、将棋愛好家の「対局相手が見つからない」という問題が解消されました。また、いろいろなチャネルを介して対局が観られるようになり、「観る将」(自分では将棋を指さない観戦メインのファン)や「将棋めし」(対局中の休憩時間に食べる食事やおやつ)など新しい楽しみ方が増えたことも、将棋ファンの裾野の広がりにつながっています。
田中
AIの登場も将棋界に大きな影響を及ぼしていると聞きます。
佐藤
いまや棋士によるAI研究は当たり前になってきましたし、配信番組などでもAIによる「評価値」(形勢判断を数値化したもの)を表示することが増えたので、あまり将棋に詳しくない方でも気軽に対局中継を楽しめるようになりました。アルミ業界における、近年のテクノロジーの影響はいかがですか?
田中
工場の操業における効率化や省エネ化なども、デジタル技術の導入により大いに進歩しつつあります。自動化や無人化がさらに進んでいけば、それだけ働く人の負担も減り、よりリラックスした気持ちで仕事に向き合うことができるようになるでしょう。
佐藤
進化の余地がまだたくさんあるのですね。
田中
UACJでは“ファンづくり”を進めているところです。アルミニウムには「何度でもリサイクルできる」「リサイクルすれば(原料であるボーキサイトから製造するのに比べて)CO2排出量を約97%削減できる」という特長があります。軽くて強いという特長を生かせば、自動車や鉄道、航空機、ロケットなどの軽量化と燃費向上にも貢献することができます。こうした特性をより多くの方に理解していただき、アルミニウムをさらに使っていただければ、環境問題という大きな社会課題の解決につながっていくはずです。

「好奇心と挑戦心」を育む次世代育成

田中
将棋は次世代を担う子どもたちの育成という点でも有益なゲームですね。
佐藤
私自身は小学1年生で始めましたが、将棋を介して本当にたくさんの方と出会い、交流させていただいてきました。また幼い頃から将棋盤を挟んで相手と向き合う緊張感を味わうことで精神力が養われますし、先を読む力や好奇心、挑戦する心、決断力、劣勢でも諦めずに戦い抜く力も身につくでしょう。「敗者が自分で負けを認める」というのも将棋の大きな特徴です。もちろん負けることは悔しいので、小さなお子さんだとなかなか「負けました」と言えないのですが。その悔しさを乗り越えて自分の負けを認め、課題の克服につなげていく。その過程を通じて、心が成長していくというメリットもあるのではないでしょうか。
田中
そうした将棋で養われる力はどれも、私たちのビジネスにおいても求められるものです。UACJグループ理念にも従業員に大事にしてほしい価値観として「好奇心と挑戦心」を掲げています。
佐藤
御社も次世代育成につながるさまざまな取り組みを展開されているそうですね。
田中
当社は「アルミでかなえる、軽やかな世界」の実現を目指しています。そのためには次世代を担う子どもたちの世代が、より軽やかで楽しい未来を過ごせるようにすることが重要だと考えており、竜王戦の他にも各種スポーツに協賛してスポーツ教室を実施したり、社員が小・中・高校生に向けて環境教育やキャリア教育の授業を実施したりしています。今後もさまざまな取り組みを通じて社会に貢献していきたいと思います。
佐藤
日本将棋連盟は創立100周年にあたる今年、東西に新たな拠点となる新将棋会館を開設しました(関西将棋会館は12月開館予定)。東京の新将棋会館にある将棋道場にはすでにたくさんのお子さんたちが来てくれており、併せて「オンライン将棋スクール」も運営しています。今後も子どもたちの成長の一助となれるよう、将棋界を挙げて努めていきたいと思います。
田中
素晴らしいですね。本日はありがとうございました。

福井県で開催したパブリックビューイング UACJはブースを出展

竜王戦七番勝負第2局(福井県あわら市)の開催に合わせて、福井・敦賀両市でパブリックビューイング(読売新聞福井支局後援、UACJ協力)が開かれました。UACJは両会場にブースを出展し、「UACJ×竜王戦オリジナルグッズ」や福井製造所で製造したアルミ材を使用した缶入りの飲料水「恐竜水」などを来場者にプレゼントしました。