特集(2022年12月)
社会になくてはならなくなったアルミニウムは「無限に再生できる素材」です。
そして、リサイクル(循環)させることで、社会になくてはならなくなったアルミニウムを、世界的な課題であるCO2排出量を抑えながら生み出すことができます。
ただ、その循環の構築には越えなければならないハードルがいくつもあります。
UACJは、アルミニウムを究める企業として、この難問に真っ先に取り組み、しかも、その中心である心臓部となる決意です。
※1 再生可能エネルギーなどを電力源とした、環境負荷を低減して製造されるアルミニウム
環境価値01アルミニウム製造時の環境負荷低減
アルミニウムは新地金を製造する工程において大量の電力を消費し、その電力由来のCO2排出量は、金属としてできるまでの全工程の中で約7割を占めます。アルミニウムはリサイクルをすれば製錬工程が不要となり、CO2排出量を大幅に減らせることから、環境負荷を低減する素材として世界中で需要拡大が続いています。そのため、リサイクル材だけでは足らず、新地金の生産が不可欠です。そこで当社は、再生可能エネルギーで製錬したグリーンアルミニウム地金の調達ルート開拓に取り組んでいます。
アルミニウム新地金の製造工程別GHG※2排出
- 出所:International Aluminum Institute
- ※2 温室効果ガス、Greenhouse Gasの略称
環境価値02リサイクルによる環境負荷低減
再生地金の製造時におけるCO2排出量は新地金製造時の約3%です。そのため、再生地金の使用率を高めることでアルミニウムの製造・使用における環境負荷を下げることができます。アルミ缶はリサイクルが進んでいるものの、その他の分野でのリサイクルを進めるにあたってはまだまだ課題があります。当社は長年磨いてきた合金・プロセス開発力やパートナー企業との連携を活かして、缶以外の回収スキームの構築や循環するたびに増加する含有不純物への対応といったリサイクルにおける課題を解決していきます。
アルミニウムのリサイクル率と平均環境負荷※3
- 出所:アルミニウム協会「アルミニウムVISION2050」を参考に作成
- ※3(アルミ新地金の環境負荷)×(1-(リサイクル率))+(アルミ再生地金の環境負荷)×(リサイクル率)
- ※4 新地金製造時の環境負荷
- ※5 再生地金製造時の環境負荷
UACJが取り組むリサイクル技術の深化
雑多なスクラップを使いこなす合金・製造プロセスの開発
同じ合金成分でも製造プロセスにより性質は変化します。当社は長年培ったノウハウで雑多なスクラップも新地金同様に使いこなせる合金・製造プロセスを開発しています。
スクラップのまま、回収・リサイクルできる処理能力の向上
スクラップを直接素材へリサイクルすることで再生時の環境負荷が低減できます。当社はアルミ缶を一貫リサイクルするシステムの構築とともに、スクラップ自体の処理能力向上に取り組んでいます。
水平リサイクル率向上に資する合金種の選別技術・アップグレードリサイクルの確立
合金種の選別ができれば、リサイクルしやすいアルミニウムになります。当社はお客様と協働で加工スクラップを選別・回収する仕組みを今後拡大していきます。また、集めたスクラップから不純物を取り除くことができれば新地金と同等の原料として扱うことができます。そこでイオン液体製錬などの新たな技術開発・実装にも挑戦していきます。
環境価値03製品使用における環境負荷低減
さまざまな特徴を併せ持つアルミニウムは、自動車の軽量化によるCO2排出量削減など、製品に使用されることで環境負荷を低減する素材です。今後、アルミニウムの未活用領域にも最適な素材を新たに開発・提供していくことができれば、環境負荷低減に大いに貢献できます。当社は、環境配慮型製品ブランド「UACJ SMART」の展開を拡大させるとともに、製品メーカーとともに啓発活動・ブランディングに取り組み、新たな領域でのアルミニウム製品開発を加速していきます。