Furukawa-Sky Review No.4 (April 2008)
技術紹介
走査型電気化学顕微鏡を用いたアルミニウム合金の表面反応観察
Observation of Surface Reaction of Aluminum Alloys Using Scanning Electrochemical Micro Spectroscopy
腐食反応は,水と接する金属表面において,金属の酸化反応(アノード反応)と水中溶存物質の還元反応(カソード反応)とが平衡する速度で進行します。アルミニウム合金の腐食事例の多くは,孔食などの局部腐食です。局部腐食は,アノードサイトとカソードサイトとの分離が特徴であり,これら場所ごとの電気化学的情報を得ることができれば腐食事例の解析および防食設計の信頼性は飛躍的に高まると期待されます。通常の電気化学測定では試料表面全体の平均的な情報しか得られないのに対し,走査型電気化学顕微鏡(scanning electrochemical microscopy:SECM)は試料表面の局所的反応をその場測定できることから,上記の期待に応えうる極めて有効なアルミニウム合金の腐食反応測定ツールであると考えられます。
SECMのアルミニウム合金に関する測定はいくつか報告されていますが,本稿ではSECM の概要とAl-Si合金の測定例について紹介します。
SECMの装置構成
Schematic diagram of SECM system.
SECMの測定原理
Schematic illustration of the mechanism of SECM observation.
Al-Si 合金表面とSECM の微小プローブ電極表面の電気化学反応
Electrochemical reactions on the surface of Al-Si alloy specimen and micro probe disk electrode.
Al-16 mass%Siの光学顕微鏡写真(a)およびSECM像(b)
Optical micrograph(a) and SECM image(b) of Al-16 mass%Si.
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